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コロナウィルス・パンデミック以降頻繁にPCRという言葉を聞くようになったと思います。

しかしこのPCRという言葉が独り歩きをして誤解をされている例も多いように思います。

PCRは polimerase chain reaction の略で2本鎖DNAを何倍にも増やす技術です。

ご存じのように生物の設計図である遺伝子は多くの場合DNA(デオキシリボ核酸)です。

DNAはA(アデニン)・T(チミン)・G(グアニン)・C(シトシン)の4種類の塩基が順番に並んで構成されています。

例えばATTCGTCAACTTGCT・・・といった具合に並んだ塩基配列が人間を含む生物の設計図(遺伝子)です。

そしてDNAは二重(らせん)構造といって、同様の内容を持つ塩基配列が二本一対になっています。

実はこのDNAは高熱になると一本鎖ずつに離れ、温度が下がると二本鎖に戻る性質があります。

PCRは、まず試験管の中のDNAを熱して一本鎖ずつに離します。

そして冷やす際にプライマーと呼ばれるDNAの端の部分を加えておくと、まず一本鎖のDNAの端にそのプライマーが結合します。

さらに試験管内にDNAポリメラーゼという、塩基を並べて結合させDNAを作る酵素とそれに加えて十分の塩基を入れておくと、プライマーの次にDNAポリメラーゼが元の一本鎖DNAの配列に合う塩基を次々と並べてゆき一本鎖DNAから二本鎖DNAを作り出します。

すなはち二本鎖DNAが2倍に増えるというわけです。

これを2回繰り返すとDNAは4倍になり3回繰り返すと8倍になります。

当院で採用している島津製作所のAuto Ampはこの温度の上げ下げ(サーマルサイクル)を約34回実施しますので2の34乗倍すなはち約170億倍にウィルスを増幅することになります。

しかし、実は現在のPCRの多くはウィルスそのものを増幅させる訳ではありません。

実際にはウィルスの一部、約16塩基対の部分を二か所増幅し検出します。

16塩基対と言っても塩基はATGCの4種類ですから4の16乗すなはち約43億通りの塩基配列がありそれを二か所検出しますので生物を特定するには十分の情報量です。

そもそも、院内でウィルスそのものを増幅していたら危険極まりありません。

当院でPCRを実施して二か所の塩基対のうち一か所だけが検出されることがあります。

これは、ウィルスの残骸分かりやすく言えば死んだウィルスを検出していると考えられます。

環境中の、例えばテーブルを拭いた布からPCRでコロナウィルスが検出された、という記事を見かけますが、これは必ずしも感染性のある生きたウィルスを意味しません。

多くの場合死菌です。

咳のしぶきの中のウィルスは床に落ちるとそんなに長時間は生きられないことが分かっています。

新型コロナウィルスに感染し症状が消失する10日目ごろにPCRをすると死菌を増殖して陽性と判定されることがよく見られます。

PCRは感染性のない死んだウィルスでも検出するのです。

ですので、PCR陽性イコール感染性を意味するものではありません。

PCRが万能であるという概念は誤解です。

 

WHOのホームページを読むと新型コロナウィルスに対する知見も経時的に少しずつ変化しています。

当初盛んに言われていた接触感染は最新の記述では否定的のようです。

すはなち、アルコール消毒や手洗いなどはそれほど必要ではないのかもしれません。

一方飛沫感染に加えてエアロゾルという記述がみられるようになりました。

従来の飛沫感染よりももう少し長時間空気中にウィルスがとどまる可能性が示唆されています。

新型コロナウィルスに対する知見が集積されるにつれて従来の概念が間違っていたことが判明する場合もあります。

最新の情報はテレビや雑誌によらず、WHOや国立感染症研究所のHPから得るのが良いと思います。

 

 

 

 

 

 

 

少量の飲酒は数時間の血圧低下作用があります。

特に飲酒後入浴すると血圧低下が著明な場合もあります。

しかしながら習慣的な飲酒は逆に血圧上昇につながります。

実は脳出血はアルコール摂取量に比例し増加するのですが、脳梗塞や慢性腎臓病は少量の飲酒はかえってリスクを低下させることが分かっています。

酒は百薬の長ということわざもありますが、ある部分ではその通りです。

高血圧の方の場合にはエタノールで20~30ml/日以下が推奨され、これはおよそ

日本酒1合、ビール中瓶1本、焼酎0.5合、ワイン2杯に相当します。

女性の場合はこの半量が推奨される量です。

当院に設置しております新型コロナウィルスを検出するリアルタイムRT-PCRは島津製作所製 Auto Amp と言い、一度に4検体が測定できますが結果判明に130分程度かかります。

主に唾液を用いて(鼻咽頭粘膜も可能)検査しますが、唾液の性情に影響を与える口腔内の状況により上手く検査ができなかったり偽陰性になったりするそうです。

特に唾液採取直前にカテキンを多く含む緑茶を接種するとカテキンの殺菌作用により偽陰性になるそうです。

ですのでPCRをご希望の方は来院前には緑茶の接種をお控え頂くのが望ましいと思います。

ところで、世界の中で日本だけが新型コロナウィルス流行が沈静化しています。

理由は多くの仮説があるものの証明された根拠のある説はなく、研究者の間でもミステリーと言われているようです。

もしかしたら日本人が多く摂取する緑茶の効果もあるのでしょうか?

そう言えば新型コロナウィルス対策に毎晩アルコールで喉や胃を消毒しているという方がおられました。

効果は・・・?

 

消毒用アルコールについての質問をよく頂きます。

特に濃度についての疑問が多いようです。

消毒用アルコールはエタノールが多く、濃度表記はw/w%、v/v%、度数が汎用されます。

理解を困難にするのは

水の比重(1mlの重量)が1であり、グラム(重量)で表記してもml(体積)で表記しても同じ1であるのに対して、エタノールは比重が0.789と低く1mlが0.789グラムしかないことと、

エタノールは水に溶けるのでエタノール1リットルと水1リットルを混ぜると2リットル未満にしかならないことの二点だと思います。

一般にw/w%はw%とも表記され、その消毒用エタノール1キログラムの中に何キログラムのエタノールが含まれているかというという意味です。

例えば75w%のエタノールを作成する場合は750グラム(約950ml)の100%エタノールをビーカーに入れ重量計の上に載せます。

そして合計が1,000グラムになるまで水を注ぎます。

これで75w%エタノールの完成で体積は1,100ml以上になります。

一方75v%のエタノールはビーカーに750mlの100%エタノール(約592グラム)を入れ合計が1,000mlになるまで水を注ぎます。

これで75v%エタノールの完成で重量は1,000グラム未満です。

一般に言われるアルコール度数はv%のことで、何も言わなけれなこの度数すなはちv%のことを指します。

コロナウィルスの殺菌に有効な度数は60~80度(v%)と言われていますが、濃度が高すぎるとエタノールは揮発性が高くあっという間に蒸発して十分な時間が得られないからです。

65w%は72v%に相当しますので単位に十分注意が必要ですね。

ちなみに消毒薬としてイソプロピルアルコールも汎用されますが、値段はエタノールの方が圧倒的に高価です。

これはエタノールがお酒として飲めるため酒税が課せられるからです。

エタノールに若干のイソプロピルアルコールを混ぜたものも販売されていますが、これは酒税を回避し価格を抑えるためでしょうね。

アルコールは揮発性が強く蒸発するときに皮脂を奪いますので若干のグリセリンを混ぜておくと手荒れが防げます。

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