心不全の話 17 HFpEF
心不全には左室駆出分画の保たれた心不全、言い換えれば左心室の収縮力の良好な心不全(HFpEF)と、左室駆出分画の低下した心不全、言い換えれば左心室の収縮力が低下した心不全(HFrEF)があります。
HFrEFに有効性の証明された薬剤は多く存在しなかでも
・β遮断薬
・アンジオテンシン変換酵素阻害薬/アルドステロン受容体拮抗薬
・ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬
・SGLT2阻害薬
の4種類は誰が名付けたか俗に「ファンタスティック・フォー」と呼ばれEFrEF治療の基本に位置づけられています。
それに対してEFpEFには長い間有効性の証明された薬剤は存在しませんでした。
ようやく最近になってSGLT-2の有効性を証明する臨床研究が発表されました。
ところで、このSGLT-2は元々糖尿病の治療薬として開発された薬剤で、尿中に糖分を排泄し血糖を下げると同時に体重減少効果もありますので「痩せ薬」としての効果もあります。
しかし、血糖を多く尿中に排泄させることから低体重の人は余計に瘦せてしまって筋肉量が減少してしまうというデメリットもあります。
短期的に症状を改善する薬剤は他にも存在しますが長期予後改善効果は証明されていません。
心不全の治療は「見えないゴールに向かって進むようなものだ」とよく言われます。
私も同感です。