心不全の話 5 リバースリモデリング

心不全に用いられる治療薬はたくさんありますが、単に現在の症状を改善するだけでなく長期予後も改善する薬が推奨されます。

現在は基本的な治療薬は

・アンジオテンシン変換酵素阻害薬/アルドステロン受容体拮抗薬

・ベータ遮断薬

・SGLT2阻害薬

・ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬

の4種類が俗にファンタスティック・フォーと呼ばれ基本の薬とされています。

それぞれの薬にはそれぞれの特徴があり、すべての人に画一的に使用されるわけではありませんし、上記以外にも選択肢は存在します。

この中で特にベータ遮断薬はいわゆるアンカー・ドラッグで可能な限り処方することが求められます。

心筋そのものが変性をおこし収縮機能を失っていくことを心筋リモデリングと言いますが、ベータ遮断薬だけはそのリモデリングを改善させるリバース・リモデリング作用があるとされています。

副作用は何といっても徐脈でいきなり大量を投与すると徐脈による弊害が現れます。

できるだけ少量から開始し、できるだけ少量ずつ増量し、できるだけ大量に用いることが原則とされています。

他に、最近開発されたイバブラジンにもリバースリモデリング作用があるとされています。

このリバースリモデリング作用は患者さんにとっては実感はなく、内服したからと言って急に楽になるわけではありませんから「見えないゴール」を目指して治療することになります。

心不全治療は短期的に症状を改善するだけでなく、長期的な展望が必要です。