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タグ アーカイブ: 高血圧

投稿

高血圧の話 81 原発性アルドステロン症の頻度

院長ブログ

原発性アルドステロン症とは副腎から昇圧物質であるアルドステロンが無秩序に分泌されて高血圧を呈する病気です

以前は比較的稀な疾患と考えられていましたが最近の統計では

・全高血圧患者の5~10パーセント

・降圧薬を複数内服しても下がりにくい難治性高血圧の15~20パーセント

・若年性高血圧ではさらに高頻度

が原発性アルドステロン症であると言われています

アルドステロンの臓器障害作用は強く、同じ高血圧でも原発性アルドステロン症は本態性高血圧症に比べて

脳卒中の発生率が4.2倍

心筋梗塞の発生率が6.5倍

高いことが分かっています

特に若年性の脳卒中が多いので注意が必要です

副腎腫瘍が原因のことが多いのですが悪性であることは稀で基本的には内服薬治療が採用されます

ただし本態性高血圧とは用いる薬剤に違いがあるので注意が必要です

 

2026年8月27日

高血圧の話 80 高血圧のchronotherapy

院長ブログ

最近の降圧薬の多くは一日一回の服用で24時間以上降圧効果が持続し血圧を安定させることを目指して作られています

しかし体内の血圧をコントロールする物質例えばレニンやアルドステロンの分泌は日内変動があり、また睡眠時間や気温あるいは食事や飲酒などのライフスタイルによっても血圧は変動しますので、一日のうちでもどの時間帯に血圧が上昇しやすいかは個人差があります

そこで血圧の上昇しやすい時間帯をターゲットとして降圧薬を内服する時間帯を変更するのがchronotherapyです

早朝に血圧の高い方は夜に降圧薬を内服するといった具合にです

もちろんこの手法により血圧の日内変動は抑えられますが、これが脳血管疾患などを抑制するのかについてはい未だ十分なエビデンスはありません

今後の研究の結果を待っているというのが現状です

 

 

 

 

 

2026年8月20日

高血圧の話 79 心肥大と心拡大

院長ブログ

心肥大は心室特に左心室の壁が厚く肥厚することです

心拡大は風船が膨らむように内腔が広く拡張することです

胸部X線を見て「心肥大」は診断できませんが「心拡大」は推定できます

正確にいうと「心陰影の拡大」と表現します

「心陰影の拡大」には「心拡大」と心臓の周囲に水がたまる「心嚢液貯留」があります

心拡大はすなわち心不全を意味しますが、長期の心拡大は心室壁張力の上昇に対抗すためるに心肥大が伴います

心肥大の原因で多いのが高血圧です

長期間高度の高血圧を放置すると心肥大がおこり心室壁はしなやかさを失い拡張しにくくなり心不全の原因になります

降圧治療により収縮期血圧を130以下にすると心肥大の合併症を減らすことができ、120以下にすると肥大した心筋は退縮します

この効果はどの降圧薬でも認められますが、特にアルドステロン受容体拮抗薬とカルシウム拮抗薬で強い効果が認められています

これらにミネラルコルチコイド受容体拮抗薬を追加すると退縮効果が強くなります

 

 

2026年7月30日

高血圧の話 78 Oncohypertension

院長ブログ

循環器内科では悪性腫瘍を扱うことは極めてまれですので以前は抗がん剤などの知識は重要ではありませんでした

しかしながら分子標的薬が汎用され特に免疫チェックポイント阻害薬が実用化されてからはirAE(免疫関連有害事象)は循環器内科にも無縁ではなくなりました

特にirAE心筋炎は治療が遅れると致死的な転機をとりうる副作用として知られています

VEGF(血管内皮細胞増殖因子)は30年以上前から血管を新しく作る因子として注目され閉塞性動脈硬化症などの治療に応用されていましたが、副作用としてもし癌が体内に潜んでいた場合にはその癌を急激に増大させることも知られていました

現在ではそのVEGFに対するモノクローナル抗体などが抗VEGF抗体が抗がん剤として用いられていますが、副作用として高血圧があります

降圧にはアンジオテンシン変換酵素阻害薬またはカルシウム拮抗薬が用いられますが、抗VEGF薬の休薬後は血圧も低下することが多くいずれは降圧剤の中止が可能です

ただし、薬剤によって血圧が下がるまでの期間が大きく違っており慎重な経過観察が必要です

 

 

2026年7月2日

高血圧の話 77 褐色細胞腫

院長ブログ

交感神経は名前の通り神経であり、電気信号で刺激を伝達しますが効果を発揮する臓器の直前では神経伝達物質という化学物質で刺激を伝えます

その神経伝達物質は交感神経の場合はノルアドレナリンでこれがたくさん放出されると臓器の受容体と結合し交感神経緊張が高まり血圧が上昇します

ところで、交感神経受容体にはα受容体とβ受容体があり両者とも昇圧効果を発揮し、逆に遮断すると血圧は低下します

ですがこの両者には効果の種類にに若干の差があり、特に血圧調節には顕著な差があります

α受容体はは血管を収縮させることで血圧を上昇させます

β受容体は逆に血管を軽度拡張しますが、その一方腎臓からのレニン分泌を促進し心拍数や心拍出量を増やすことから血圧を上昇させます

結局両者とも刺激を受けると血圧を上昇させ、受容体を遮断されると血圧は低下します

ところで、ノルアドレナリン以外にも類似した効果を発揮する物質は存在しカテコラミンと総称され、代表的なものにアドレナリンがあります

アドレナリンは交感神経終末の局所で作用を発揮する神経伝達物質ではなく、副腎から血中に放出され全身を流れるホルモンのような物質で作用はノルアドレナリンとほぼ同様です

ある種の副腎の腫瘍でこのカテコラミンがたくさん分泌されると血圧が上昇し、褐色細胞腫と呼ばれます

高血圧の一部にはこの褐色細胞腫が混じっており注意が必要です

交感神経緊張による血圧上昇なので動悸を伴います

動悸を伴う高血圧なのでβ遮断薬が最適と考えられがちですが、実はこの場合β遮断薬は禁忌です

β遮断薬を単独で投与すると行き場を失ったカテコラミンがα受容体に殺到しunopposede α stimulation と呼ばれる高度のα受容体刺激が起こり血圧は急上昇します

褐色細胞腫の場合にはまずα受容体遮断から開始することが必須で治療を間違うとアクシデントの原因になります

 

 

 

 

 

2026年5月6日

高血圧の話 76 尿中Na/K

院長ブログ

高血圧に対してナトリウム(Na)制限すなはち6g/日以下の塩分制限が推奨されることはご存じだと思います

一方でカリウム(K)を多く摂取することも推奨されています

Kを多く含む生野菜や果物を多く摂取すればそれだけ血圧の低下につながります

では、自分は現在この目標をどの程度達成できているのだろうか、という疑問に対して尿中のNa/K比の測定が有用です

摂取したNaのうち約90%が、Kの80%が尿中に排泄されることから、尿中のNaやK濃度から摂取したNaやKを推定できます

そして理想的なNa/K比は2未満が指摘目標であるとされています

ただこの数字はハードルが高く、厚生労働省からは4未満が実現可能目標と発表されています

 

2026年4月2日

高血圧の話 75 triple whammy

院長ブログ

RAS系阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬・アルドステロン受容体拮抗薬)と利尿剤は推奨される降圧剤の組み合わせで実際にアルドステロン受容体拮抗薬と利尿剤の合剤も発売されています

しかしながら個々のNSAID(非ステロイド系抗炎症薬)が加わるとtriple whammy(三段攻撃)と呼ばれる危険な併用になります

急性腎障害や腎機能低下のリスクになりうります

高齢高血圧患者や心不全、腎機能の低下した患者では特に注意が必要です

 

2026年2月19日

心臓病の話 3 拡張型心筋症

院長ブログ

心室の内圧をP、

心室の内腔の半径をR、

心室壁にかかる張力をT とすると

T=2PR

という式が成り立ちます

たとえば高血圧などで左心室の内圧が上がるとそれだけ左心室壁にかかる張力は増加しますので増えた張力に対応するため左心室壁は内腔側に心筋を増生し内腔を狭くする心筋肥大(求心性肥大)がおこります

あるいはシャント疾患や弁膜症などで左心室に容量負荷がかかり左心室が広がるとその結果として心室壁にかかる張力が増えますのでその張力に耐えるために心室壁は肥厚し強度を増します

すなはち、拡大は必ず肥大を伴いますが、肥大は必ずしも拡大を伴いません

もし肥大を伴わない拡大があればそれは心筋そのものに異常があると言えます

拡張型心筋症はその例で、左心室の筋肉に異常がおこり収縮力が低下すると拍出量を保つために心室は拡大しますが、拡大したにもかかわらず肥大しません

超音波検査で拡大しているにも関わらず肥大のない左心室を見た場合、その時点で心筋の異常であると結論できます

心筋が収縮力を失う病気の中で頻度が多いのが拡張型心筋症です

現実には拡張型心筋症の原因は不明ですし、心筋症そのものを治す治療も現在のところありませんので心筋生検といったリスクのある検査はしないのが一般的です

拡張型心筋症に類似しした疾患には虚血性心疾患によるもの、心筋炎の後遺症、アミロイドーシスやサルコイドーシスがありますが、アミロイドーシスを除いて特異的な治療法はありませんし心アミロイドーシスの治療も一般に普及している段階ではないので治療は心不全対策になります

この分野は遺伝子レベルの研究が望まれる分野だと思います

 

 

 

 

2026年1月22日

高血圧の話 74 75歳以上の高齢者の降圧指針

院長ブログ

75歳以上の高齢者の高血圧は血圧変動性が大きい、収縮期高血圧が多い、起立性や食後低血圧が多いなどの特徴があり、一概に年齢だけでは身体の活動性なども決められないこともあり

75歳以上の高齢者の高血圧については以下の4種のカテゴリに分類して降圧目標を立てることが推奨されています

①カテゴリー1:自力で外来通院が可能な方で目標は130/80以下です

②カテゴリー2:外来通院に介助が必要な方で140/以下を目標とするが合併症のある場合には130/以下を目標とする

③カテゴリー3:外来通院が困難な方で150/以下を目標にし120/以下にはしない

④カテゴリー4:エンド・オブ・ライフの方では個別に判断するが目標は140~160/で新たな降圧は開始しない

高齢者では降圧薬の副作用も出やすいので慎重に経過を見る必要があります

 

2026年1月15日

高血圧の話 73 SPRINT 試験

院長ブログ

フラミンガム研究などの観察研究で収縮期血圧120以上から心血管合併症が増えてくることは以前から明らかにされており,収縮期血圧120は至適血圧値とよばれていました。

しかし降圧薬治療でこのレベルまで介入することの是非については多くの議論がありましたが、血圧を120以下に下げることの有用性を証明した大機御臨床研究がSPRINT試験です

収縮期血圧を120以下に降圧した場合には140を目標にした場合に比べて心不全や心筋梗塞などの心血管イベントが25%も低下し、全死亡も27%も低下したという結果を踏まえてアメリカでは高血圧の基準が130/80に引き下げられました

日本での高血圧の基準はそれには追随しなかったものの、2025改定の「高血圧管理・治療ガイドライン」では「120/80以上の血圧を呈するすべての者を血圧管理の対象とする」と宣言されています

ただちに降圧剤を内服するかは別にして生活習慣の改善などを開始することを推奨されています

ちなみにSPRINTでは血圧は医師のいない場所で自動血圧計で3回計測した血圧の平均値を血圧として採用しています

診察室での血圧は家庭血圧より高値である場合が多く血圧は家庭で測定することが基本だと思います

 

2025年12月4日
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