75歳以上の高齢者の高血圧は血圧変動性が大きい、収縮期高血圧が多い、起立性や食後低血圧が多いなどの特徴があり、一概に年齢だけでは身体の活動性なども決められないこともあり

75歳以上の高齢者の高血圧については以下の4種のカテゴリに分類して降圧目標を立てることが推奨されています

①カテゴリー1:自力で外来通院が可能な方で目標は130/80以下です

②カテゴリー2:外来通院に介助が必要な方で140/以下を目標とするが合併症のある場合には130/以下を目標とする

③カテゴリー3:外来通院が困難な方で150/以下を目標にし120/以下にはしない

④カテゴリー4:エンド・オブ・ライフの方では個別に判断するが目標は140~160/で新たな降圧は開始しない

高齢者では降圧薬の副作用も出やすいので慎重に経過を見る必要があります

 

心臓には大動脈弁・僧帽弁・肺動脈弁・三尖弁と4つの弁がありそれぞれに閉鎖不全と狭窄がありますから計8種類の弁膜症があることになります

狭窄はその弁の前の部屋に圧負荷がかかり、閉鎖不全は前後の部屋に容量負荷がかかります

弁膜症の中でも大動脈弁膜症は特別です

他の弁膜症は心不全の悪化と軽快を繰り返しながら進行しますが、大動脈弁膜症はある日突然心不全症状が出現し初めての心不全症状が致死的経過をたどることがあります

ですから大動脈弁膜症は十分注意をして早めの治療をしないと症状が出た時には重症ということが稀ではありません

特に大動脈弁狭窄症は欠神発作や胸痛発作などが起これば手術を要すると考えられます

近年の循環器領域で目覚ましい進歩の一つが経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)です

それまでは人工心肺を回しながら開胸して人工弁を取り付けたのに対して現在では大腿動脈から折りたたんだ人工弁を大動脈弁内に留置することで治療することが可能です

初めてこの治療のビデオを観たときは本当に衝撃でした

それまで開胸手術に耐えられなかった体力のない方でも受けられる治療ですので、特に高齢者にとっては本当に福音ですね

 

2がつ14日から始まりました新クリニック建設工事もいよいよ12月25日で終了です

10月以上にわたって不便をおかけしまして本当に申し訳ありませんでした

12月26日からはクリニックの駐車場が利用可能となります

お気づきの点などありましたらスタッフにお伝えいただけましたら幸いです

 

フラミンガム研究などの観察研究で収縮期血圧120以上から心血管合併症が増えてくることは以前から明らかにされており,収縮期血圧120は至適血圧値とよばれていました。

しかし降圧薬治療でこのレベルまで介入することの是非については多くの議論がありましたが、血圧を120以下に下げることの有用性を証明した大機御臨床研究がSPRINT試験です

収縮期血圧を120以下に降圧した場合には140を目標にした場合に比べて心不全や心筋梗塞などの心血管イベントが25%も低下し、全死亡も27%も低下したという結果を踏まえてアメリカでは高血圧の基準が130/80に引き下げられました

日本での高血圧の基準はそれには追随しなかったものの、2025改定の「高血圧管理・治療ガイドライン」では「120/80以上の血圧を呈するすべての者を血圧管理の対象とする」と宣言されています

ただちに降圧剤を内服するかは別にして生活習慣の改善などを開始することを推奨されています

ちなみにSPRINTでは血圧は医師のいない場所で自動血圧計で3回計測した血圧の平均値を血圧として採用しています

診察室での血圧は家庭血圧より高値である場合が多く血圧は家庭で測定することが基本だと思います

 

感染性心内膜炎とは心臓の構造的な異常や人工弁などの異物に菌が付着・増殖して菌の塊を形成し心臓の構造を破壊する病気です

菌の塊が血流にのって脳などの遠隔臓器に塞栓などをおこしたりもしますとても恐ろしい病気です

感染性心内膜炎になりやすい危険因子は分かっていて、特に人工弁はハイリスクです

抜歯などの歯科処置や、掻爬疹を伴うほどの皮膚疾患が原因となると言われています

歯根や皮膚から侵入した菌が弁などに菌塊を形成しますのでハイリスクの方はそういう処置の際に予め抗菌剤を内服することも推奨されます

先天性の心疾患や人工弁植え込み手術の既往のある方は抜歯前に主治医に相談されるのが良いと思います

 

先週末はクリニックの忘年会でした

美味しい料理とお酒を頂きながら楽しい、手に汗握るビンゴ大会でした

炎天下に熱中症を心配しながら新クリニックに引越ししたのがつい昨日のことの様で、もう忘年会かと絶句します

新クリニックのプランを具体的に開始したのは2年以上前ですが、今思えばあっという間でした

設備も充実しより一層お役に立てるクリニックになっていると自負しております

来年はさらに設備を拡充しレベルアップを目指しています

 

 

 

 

特に左の腎臓は130mmHgもの圧力がかかり太さ2センチ以上もある大動脈から数センチしか離れていないにも関わらず極めて細い血管にまで分岐し糸球体を形成します

ですので腎臓の中の微小な血管は太さに比べてすごく大きな圧力がかかっておりこれをストレインベッセルと呼びます

構造上血管壁のダメージを受けやすく血流の障害は蛋白尿のない腎機能低下につながります

こういう場合には降圧薬としてアルドステロン受容体拮抗薬の優位性はなく、カルシウム拮抗薬も選択肢になります

こういう状況は腎硬化症と呼ばれますが、全身の他の動脈例えば脳や心臓あるいは眼の血管でも同様のことがおこっている可能性がありますので注意が必要です

 

発作性上室頻拍という名前は一般の方には聞きなれないと思いますが、そんなに稀な不整脈ではありません

心拍は心房の最上位である洞結節から発生した電気信号が心房→房室結節→心室へと伝達され心臓が律動的な収縮をするので、心拍数は洞結節の電気信号の発生頻度によります

運動時や精神的な興奮時には洞結節から発生される電気信号が多くなり心拍数が増加します

その場合には心拍数は徐々に増加し、徐々に減少します

ところがある瞬間に急に心拍数がまるでスイッチを切り替えたかのように早くなることがあり、これを発作性上室頻拍と呼びます

安静にリラックスしているのに急に心拍数が160/分とかに増えますから「ドキドキ」と激しい動悸がします

全力疾走したときのドキドキ感が安静にしているのに急に出現しますから不愉快な感じがします

原因はいくつかあるのですが洞結節からの電気信号が房室結節でグルグルと無限に回る小さな電気回路が形成されてしまう房室結節リエントリー頻拍が最も多い原因です

多くの場合、自然に収まりますから心電図でとらえられることは稀です

しかし最近は携帯する心電計やアップルウォッチが普及し記録されるケースも見られるようになりました

急に心臓が走り出す感じがする場合にはこの発作性上室頻拍かもしれません

 

ところで、ミャクミャクってお尻にも目があるんですね

 

9月28日に堺中央教会杉貴生牧師様のご厚意で新クリニック祝福の会を開催して頂きました

杉牧師様はじめクリスチャンの方々から暖かいお祝いと励ましのお言葉を頂き医療に従事する者として改めて責任の重さを感じました

医療の基本はボランティアだと思っているのですが、クリスチャンの方々の思想は利他的で医療の心に通じるものがあると感じました

最後に記念写真を撮影して頂きましたが、シャッターと同時に自動ドアが閉まり大笑いでした

当日ご参加いただきました皆様本当に有難うございました

 

HFpEFの長期予後を改善する効果を証明された薬は長らくなかったのですが、2021年以降の臨床研究から糖尿病治療薬のSGLT2阻害薬がHFpEFの標準的な治療薬として位置づけられました

しかしながらそれ以外の薬剤は未だに有効性が不明または無効でHFpEFの治療はまだまだこれからの分野です

また今年改定された高血圧のガイドラインでは、HFpEFに対して血圧を130未満にすることが推奨されています

その解説を見ますと

「HFpEFにおける収縮期血圧130未満の血圧管理は、130以上の管理と比して全死因死亡を26%減少させ統計的には優位ではなかったものの抑制傾向が認められた」

と若干歯切れの悪い表現です

個人的意見ですが、これはHFpEFというのが一つの疾患ではなく多くの病態をひっくるめて論じているからではないかと思います

左室収縮能の保たれた心不全、言い換えれば心臓の動きが良いにもかかわらず心不全であるというのはいろんなケースを含みます

最も多く想定されているのが

・左室拡張障害;左心室の収縮は良いが左心室が硬く広がりにくくなっているためにその手前の肺にうっ血がおこっている

だと思うのですが、それ以外に

・頻脈など不整脈によるもの

・弁の機能異常

・脱水

・腎機能低下などによる循環血液量の増加

などたくさんあると思います

ですからHFpEFはまずどのようなメカニズムでおこっているのかをはっきりさせ個々の血行動態に合わせた治療をするのが現状ではベストだと思っています