RAS系阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬・アルドステロン受容体拮抗薬)と利尿剤は推奨される降圧剤の組み合わせで実際にアルドステロン受容体拮抗薬と利尿剤の合剤も発売されています

しかしながら個々のNSAID(非ステロイド系抗炎症薬)が加わるとtriple whammy(三段攻撃)と呼ばれる危険な併用になります

急性腎障害や腎機能低下のリスクになりうります

高齢高血圧患者や心不全、腎機能の低下した患者では特に注意が必要です

 

新クリニックに移転してもう半年になります

新クリニックの工事が始まったのが昨年の2月14日でしたので今週末で一年になります

大きなショベルカーが搬入されて入り口のゲートや花壇が粉々に破壊されるのを見てなぜか心が痛みました

今までの歴史を知っているからこそなのですが、逆にいつまでも同じところに留まってはいけないと自分に言い聞かせて工事の様子を眺めていました

準備期間を含めると移転には2年以上の期間がかかったのですが、本当に多くの方々に助けて頂きました

その甲斐あって本当に素晴らしいクリニックが出来上がりつつあると思います

今後導入を検討中の医療機器がまだありますのでまだ完成ではないのですが、やはり技術の進歩は人間を確実に幸せにすると確信しております

 

心房細動の場合には心房で形成された血栓が血流にのり脳まで流れて血管を詰めて脳梗塞をおこしますので血栓予防薬(ワーファリンやDOAC)が必要となります

血液の凝固能を抑えることで血栓を予防しようという方法です

しかし凝固能を抑えますので出血という副作用があります

過去に脳出血の既往のある方や転倒を繰り返し硬膜下血腫をおこす方にはこういった血栓予防薬はデメリットになる可能性があります

ところで、心臓でできる血栓のほとんどは左心房から大きなでべそのように飛び出て存在する左心耳という部分で形成されます

ですので僧帽弁の外科手術の際などにはついでにこの左心耳を切除し将来の血栓を予防する、といったことも行われます

抗凝固薬が副作用の可能性のため内服できない場合には、カテーテル治療でこの左心耳に蓋をしてしまおうという方法もありそのデバイスはWATCHMANと呼ばれます

出血が危惧され抗凝固剤が使用できない場合には有用な治療です

 

 

心室の内圧をP、

心室の内腔の半径をR、

心室壁にかかる張力をT とすると

T=2PR

という式が成り立ちます

たとえば高血圧などで左心室の内圧が上がるとそれだけ左心室壁にかかる張力は増加しますので増えた張力に対応するため左心室壁は内腔側に心筋を増生し内腔を狭くする心筋肥大(求心性肥大)がおこります

あるいはシャント疾患や弁膜症などで左心室に容量負荷がかかり左心室が広がるとその結果として心室壁にかかる張力が増えますのでその張力に耐えるために心室壁は肥厚し強度を増します

すなはち、拡大は必ず肥大を伴いますが、肥大は必ずしも拡大を伴いません

もし肥大を伴わない拡大があればそれは心筋そのものに異常があると言えます

拡張型心筋症はその例で、左心室の筋肉に異常がおこり収縮力が低下すると拍出量を保つために心室は拡大しますが、拡大したにもかかわらず肥大しません

超音波検査で拡大しているにも関わらず肥大のない左心室を見た場合、その時点で心筋の異常であると結論できます

心筋が収縮力を失う病気の中で頻度が多いのが拡張型心筋症です

現実には拡張型心筋症の原因は不明ですし、心筋症そのものを治す治療も現在のところありませんので心筋生検といったリスクのある検査はしないのが一般的です

拡張型心筋症に類似しした疾患には虚血性心疾患によるもの、心筋炎の後遺症、アミロイドーシスやサルコイドーシスがありますが、アミロイドーシスを除いて特異的な治療法はありませんし心アミロイドーシスの治療も一般に普及している段階ではないので治療は心不全対策になります

この分野は遺伝子レベルの研究が望まれる分野だと思います

 

 

 

 

75歳以上の高齢者の高血圧は血圧変動性が大きい、収縮期高血圧が多い、起立性や食後低血圧が多いなどの特徴があり、一概に年齢だけでは身体の活動性なども決められないこともあり

75歳以上の高齢者の高血圧については以下の4種のカテゴリに分類して降圧目標を立てることが推奨されています

①カテゴリー1:自力で外来通院が可能な方で目標は130/80以下です

②カテゴリー2:外来通院に介助が必要な方で140/以下を目標とするが合併症のある場合には130/以下を目標とする

③カテゴリー3:外来通院が困難な方で150/以下を目標にし120/以下にはしない

④カテゴリー4:エンド・オブ・ライフの方では個別に判断するが目標は140~160/で新たな降圧は開始しない

高齢者では降圧薬の副作用も出やすいので慎重に経過を見る必要があります

 

心臓には大動脈弁・僧帽弁・肺動脈弁・三尖弁と4つの弁がありそれぞれに閉鎖不全と狭窄がありますから計8種類の弁膜症があることになります

狭窄はその弁の前の部屋に圧負荷がかかり、閉鎖不全は前後の部屋に容量負荷がかかります

弁膜症の中でも大動脈弁膜症は特別です

他の弁膜症は心不全の悪化と軽快を繰り返しながら進行しますが、大動脈弁膜症はある日突然心不全症状が出現し初めての心不全症状が致死的経過をたどることがあります

ですから大動脈弁膜症は十分注意をして早めの治療をしないと症状が出た時には重症ということが稀ではありません

特に大動脈弁狭窄症は欠神発作や胸痛発作などが起これば手術を要すると考えられます

近年の循環器領域で目覚ましい進歩の一つが経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)です

それまでは人工心肺を回しながら開胸して人工弁を取り付けたのに対して現在では大腿動脈から折りたたんだ人工弁を大動脈弁内に留置することで治療することが可能です

初めてこの治療のビデオを観たときは本当に衝撃でした

それまで開胸手術に耐えられなかった体力のない方でも受けられる治療ですので、特に高齢者にとっては本当に福音ですね

 

2がつ14日から始まりました新クリニック建設工事もいよいよ12月25日で終了です

10月以上にわたって不便をおかけしまして本当に申し訳ありませんでした

12月26日からはクリニックの駐車場が利用可能となります

お気づきの点などありましたらスタッフにお伝えいただけましたら幸いです

 

フラミンガム研究などの観察研究で収縮期血圧120以上から心血管合併症が増えてくることは以前から明らかにされており,収縮期血圧120は至適血圧値とよばれていました。

しかし降圧薬治療でこのレベルまで介入することの是非については多くの議論がありましたが、血圧を120以下に下げることの有用性を証明した大機御臨床研究がSPRINT試験です

収縮期血圧を120以下に降圧した場合には140を目標にした場合に比べて心不全や心筋梗塞などの心血管イベントが25%も低下し、全死亡も27%も低下したという結果を踏まえてアメリカでは高血圧の基準が130/80に引き下げられました

日本での高血圧の基準はそれには追随しなかったものの、2025改定の「高血圧管理・治療ガイドライン」では「120/80以上の血圧を呈するすべての者を血圧管理の対象とする」と宣言されています

ただちに降圧剤を内服するかは別にして生活習慣の改善などを開始することを推奨されています

ちなみにSPRINTでは血圧は医師のいない場所で自動血圧計で3回計測した血圧の平均値を血圧として採用しています

診察室での血圧は家庭血圧より高値である場合が多く血圧は家庭で測定することが基本だと思います

 

感染性心内膜炎とは心臓の構造的な異常や人工弁などの異物に菌が付着・増殖して菌の塊を形成し心臓の構造を破壊する病気です

菌の塊が血流にのって脳などの遠隔臓器に塞栓などをおこしたりもしますとても恐ろしい病気です

感染性心内膜炎になりやすい危険因子は分かっていて、特に人工弁はハイリスクです

抜歯などの歯科処置や、掻爬疹を伴うほどの皮膚疾患が原因となると言われています

歯根や皮膚から侵入した菌が弁などに菌塊を形成しますのでハイリスクの方はそういう処置の際に予め抗菌剤を内服することも推奨されます

先天性の心疾患や人工弁植え込み手術の既往のある方は抜歯前に主治医に相談されるのが良いと思います

 

先週末はクリニックの忘年会でした

美味しい料理とお酒を頂きながら楽しい、手に汗握るビンゴ大会でした

炎天下に熱中症を心配しながら新クリニックに引越ししたのがつい昨日のことの様で、もう忘年会かと絶句します

新クリニックのプランを具体的に開始したのは2年以上前ですが、今思えばあっという間でした

設備も充実しより一層お役に立てるクリニックになっていると自負しております

来年はさらに設備を拡充しレベルアップを目指しています