当院では磁気カードの診察券の他に携帯電話を診察券として使うデジスマ診察券がご利用いただけます

デジスマ診察券では

・自宅から診察の順番取りができる

・予め登録したクレジットカードで後日清算が可能(受付での会計が無くなる)

・オンライン診療

などの利用方法がありますが、

iPhoneでお使いの方はヘルスケアとリンクしスマホから記入した血圧・心拍数・歩数・摂取カロリーなどが当院の電子カルテ上に表示されます

紙の血圧手帳を持参いただく必要が無くなり便利です

ぜひご活用ください

 

Stunned myocardium という言葉はおそらく一般の方にはなじみが薄いと思います

日本語では『気絶心筋』などと呼ばれますが、一過性の虚血など心筋に対する強いストレスが誘因となり一時的に心筋がまるで壊死を起こしたかのように運動性の低下する状態です

時間とともに壁運動は回復するのでこんな呼び名があるのですが、たこつぼ心筋症ははじめはこのstunned myocardium の一種として日本で報告されていました

左心室の一部分にのみ壁運動異常がみられ収縮末期にはまるでたこつぼのような形をするからこのような名前になったのですが、現在では世界的に認知されTakotsubo Syndrome (TTS)と呼ばれています

高齢女性に多く精神的ストレスが誘因となるケースが多いことからbroken heart syndrome と呼ばれたこともあり、楽しい出来事も誘因になることが報告されhappy heart syndrome と呼ばれたこともあります

交感神経の一過性の過剰な興奮により増加したカテコラミンに対してβ受容体の反応性が低下して心臓の収縮力が低下するというのが一般的に支持されている仮説ですが証明はされていませんし、確立された治療方法もありません

一般に症状は時間とともに軽快し予後良好なのですが、最近では重症例も多く報告され特に右心室の壁運動異常を合併する例では予後不良と言われています

 

蛋白尿を合併するかしないかで降圧薬の選択に影響しますが、蛋白尿の定義はご存じでしょうか?

蛋白尿の定義は一日蛋白尿が0.15gを超えることを言います。

一日の蛋白尿の量を測定するのには一日に排尿した尿を全て容器にためて検査しなければいけないのかというとそうではありません。

g/gCrという表記をご存じでしょうか?

Crとはクレアチニンの略で主に筋肉の老廃物です。

このクレアチニンは全ての人で一日排泄量がほぼ1gと一定であるとされています。

ですので仮にある人に採尿してもらってその尿中にはCrが0.2g含まれていたとすると、その尿は一日量の1/5であると考えられます。

そしてその尿中に蛋白が0.3g含まれていたら、その人の一日尿蛋白は1.5gということになります。

すなはち、クレアチニン1g当たりの蛋白尿の量という意味でg/gCrと表記します。

そしてこれは一日尿蛋白量と考えられます。

もちろんこれは簡易的な指標ですので筋肉量の多い方では誤差が出ます。

ボディビルダーの血清Crが高めなのはそのためでこういう場合にはシスタチンCを測定します。

 

 

不整脈や狭心症を検出するのに有用なのがホルター心電図です

動悸や胸痛を自覚しても病院に到着するころには症状そのものが治まってしまって心電図を記録しても診断がつかないことが多いのが実情です

ホルター心電図は胸部に張り付けるだけで24時間以上の心電図を記録できますから、数分程度で収まる動悸や胸痛などの心臓発作を検出するのに優れています

当院では24時間装着の従来型のホルター心電図以外に、2週間連続装着可能なものあるいはバンドエイド程度の大きさで1週間装着できる小型のハートノートの3種類のホルター心電図に加え

自覚症状があるときにポケットから取り出して自身でスマホを用いて記録する携帯型心電図を用意しております

それぞれにそれぞれの長所と短所があり使い分けます

 

左室駆出分画(左心室の動き)が低下した心不全(HFrEF)に有用性の示された薬剤は多く、現在は俗にファンタスティック・フォーと呼ばれる

・β遮断薬

・アンジオテンシン変換酵素阻害薬・アルドステロン受容体拮抗薬

・SGLT2阻害薬

・ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬

が治療の中心となっています

一方、左室駆出分画の低下していない心不全(HFpEF)の長期予後改善に対して効果が実証された薬剤は無く、最近ようやくSGLT2阻害薬の有効性の可能性が言われています

現在、2型糖尿病を合併する慢性腎臓病の治療薬として用いられているフィネレノン(商品名ケレンディア)のHFpEFに対する有効性を証明した論文が発表されました

左室駆出分画の正常または軽度低下の心不全の増悪を18%低下させたそうです

現在はまだ心不全治療薬としては認可されていませんが、近い将来HFpEFに対して推奨される薬になるのかも知れませんね

 

日によりましては待ち時間が随分長くなりご迷惑をおかけしております

当院ではデジスマ診療というシステムを採用しております

当院HPからデジスマ診察券をインストールし当院を登録いただくと、スマホから診察予約ができます

時間予約はできませんが順番取りが可能で、スマホにあと何人待ちかが表示されます

ご自宅で順番取りをされて自分の順番が近くなってから来院・受付をされると診察室での待ち時間が短縮できます

また血液検査閲覧ソフトも10月1日から利用可能です

ぜひご活用ください

デジスマ診療 ーオンライン診療のご予約ー

 

 

 

 

スマホで健康管理「ウィズウェルネス」のご案内

 

 

 

 

 

半藤一利さんの著書は大好きでたくさん読んだと思います

現在読んでいるのは「昭和史 戦後編」です

半藤さんの著書は多くの場合一次資料を中心に内容が構成されており「どうしてそんなことまでご存じなんですか?」とお聞きしたくなるほど歴史の詳細が正確に語られています。

歴史書でよくある話題が「我々日本人はなぜあのような不幸な戦争に突入したのか?」で、これについては多くの意見がありますが、あの当時の日本人全体を包んだ高揚感をこの著書の前作ともいえる「昭和史」では実感することができます

NHKの大河ドラマにもなった司馬遼太郎の名作「坂の上の雲」のオープニングのセリフでも日露戦争について同様のことが語られています

 

 

半藤さんの歴史書では本当に多くのことが学べますが、それを一つ一つ批判的な目で吟味し自分自身の頭で理解することが大切だと思っています

 

 

 

全国でApple Watch 外来を実施する医療機関が増えていますね

Apple Watch は不整脈を検知する機能を備えておりその診断は古典的なルールドAIではなく8層のディープラーニングAIが担当しているそうです

同社によりますと心房細動検出の感度(心房細動を心房細動と診断する確率)は98%、特異度(心房細動でないものを心房細動でないと診断する確率)は90%です

academyinfo20210129

ですのでApple Watch の診断は医師が確認する必要があります

iphone からPDFファイルとして保存する

Apple Watch の画面をスクリーンショットする

のいずれかの画像をご提示頂ければ参考になります

この場合、当院を受診し対面診察をお受け頂く以外にも、オンライン診療でPDFまたは画像を添付頂けましたら対応可能です。

ぜひご活用ください。

心不全には左室駆出分画の保たれた心不全、言い換えれば左心室の収縮力の良好な心不全(HFpEF)と、左室駆出分画の低下した心不全、言い換えれば左心室の収縮力が低下した心不全(HFrEF)があります。

HFrEFに有効性の証明された薬剤は多く存在しなかでも

・β遮断薬

・アンジオテンシン変換酵素阻害薬/アルドステロン受容体拮抗薬

・ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬

・SGLT2阻害薬

の4種類は誰が名付けたか俗に「ファンタスティック・フォー」と呼ばれEFrEF治療の基本に位置づけられています。

それに対してEFpEFには長い間有効性の証明された薬剤は存在しませんでした。

ようやく最近になってSGLT-2の有効性を証明する臨床研究が発表されました。

ところで、このSGLT-2は元々糖尿病の治療薬として開発された薬剤で、尿中に糖分を排泄し血糖を下げると同時に体重減少効果もありますので「痩せ薬」としての効果もあります。

しかし、血糖を多く尿中に排泄させることから低体重の人は余計に瘦せてしまって筋肉量が減少してしまうというデメリットもあります。

短期的に症状を改善する薬剤は他にも存在しますが長期予後改善効果は証明されていません。

心不全の治療は「見えないゴールに向かって進むようなものだ」とよく言われます。

私も同感です。

 

心不全になると多くのホルモンや液性因子の働きで体液量が増加、すなはち心臓の前負荷が増大します。

初期はこの前負荷の増大で心不全は軽快する方向に動きます。

しかしながらある一定の状況を超えると体に余分な水分が貯留し下腿の浮腫や肺うっ血などの原因になります。

慢性腎臓病があると多くの場合体液貯留傾向にあることから心不全は悪化します。

ですので慢性腎臓病を合併する心不全は治療に難渋する場合も稀ではありません。

ところで、この慢性腎臓病という病名は私が研修医の頃はあまり馴染みのないものでした。

当時は慢性腎臓病という呼び方はせず、個々の腎疾患を病理診断名と臨床診断名の両方で呼ぶのが一般的で中にはこの両者が同じ名前の場合もあり慣れるまで混乱することもあったと思います。

病理名は例えば、膜性腎症、層状糸球体硬化症、メサンギウム増殖性糸球体腎炎や悪性腎硬化症などどいった具合です。

臨床診断名としては糖尿病性腎症、ループス腎炎、IgA腎症や悪性高血圧などどいった具合です。

その各々が予後も違えば治療方法も異なりますのでまず診断名をつけることから始まりました。

目標は透析回避でした。

ところが、その後これらの病気の方々は慢性腎不全で命を落とすよりむしろ合併する心血管疾患が生命予後規定因子であることが証明されました。

それ以来は個々の診断はさておいて慢性腎臓病という病名で一括に扱い心血管疾患予防に重点を置いた治療が中心となりました。

このことについて私は若干の違和感があります。

もちろん慢性腎臓病の方の心血管疾患予防は大切なことなのですが、個々の病型によっては腎不全になるものも存在しますし多くの慢性糸球体腎炎には各々に適した治療方法もあり腎機能悪化を食い止める方法がある場合もあります。

ですので、慢性腎臓病という呼び名はそれだけで終わってはいけないと思うのです。

今回は少々愚痴っぽい話でした。