半藤一利さんの著書は大好きでたくさん読んだと思います
現在読んでいるのは「昭和史 戦後編」です
半藤さんの著書は多くの場合一次資料を中心に内容が構成されており「どうしてそんなことまでご存じなんですか?」とお聞きしたくなるほど歴史の詳細が正確に語られています。
歴史書でよくある話題が「我々日本人はなぜあのような不幸な戦争に突入したのか?」で、これについては多くの意見がありますが、あの当時の日本人全体を包んだ高揚感をこの著書の前作ともいえる「昭和史」では実感することができます
NHKの大河ドラマにもなった司馬遼太郎の名作「坂の上の雲」のオープニングのセリフでも日露戦争について同様のことが語られています
半藤さんの歴史書では本当に多くのことが学べますが、それを一つ一つ批判的な目で吟味し自分自身の頭で理解することが大切だと思っています
全国でApple Watch 外来を実施する医療機関が増えていますね
Apple Watch は不整脈を検知する機能を備えておりその診断は古典的なルールドAIではなく8層のディープラーニングAIが担当しているそうです
同社によりますと心房細動検出の感度(心房細動を心房細動と診断する確率)は98%、特異度(心房細動でないものを心房細動でないと診断する確率)は90%です
academyinfo20210129ですのでApple Watch の診断は医師が確認する必要があります
iphone からPDFファイルとして保存する
Apple Watch の画面をスクリーンショットする
のいずれかの画像をご提示頂ければ参考になります
この場合、当院を受診し対面診察をお受け頂く以外にも、オンライン診療でPDFまたは画像を添付頂けましたら対応可能です。
ぜひご活用ください。
心不全には左室駆出分画の保たれた心不全、言い換えれば左心室の収縮力の良好な心不全(HFpEF)と、左室駆出分画の低下した心不全、言い換えれば左心室の収縮力が低下した心不全(HFrEF)があります。
HFrEFに有効性の証明された薬剤は多く存在しなかでも
・β遮断薬
・アンジオテンシン変換酵素阻害薬/アルドステロン受容体拮抗薬
・ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬
・SGLT2阻害薬
の4種類は誰が名付けたか俗に「ファンタスティック・フォー」と呼ばれEFrEF治療の基本に位置づけられています。
それに対してEFpEFには長い間有効性の証明された薬剤は存在しませんでした。
ようやく最近になってSGLT-2の有効性を証明する臨床研究が発表されました。
ところで、このSGLT-2は元々糖尿病の治療薬として開発された薬剤で、尿中に糖分を排泄し血糖を下げると同時に体重減少効果もありますので「痩せ薬」としての効果もあります。
しかし、血糖を多く尿中に排泄させることから低体重の人は余計に瘦せてしまって筋肉量が減少してしまうというデメリットもあります。
短期的に症状を改善する薬剤は他にも存在しますが長期予後改善効果は証明されていません。
心不全の治療は「見えないゴールに向かって進むようなものだ」とよく言われます。
私も同感です。
心不全になると多くのホルモンや液性因子の働きで体液量が増加、すなはち心臓の前負荷が増大します。
初期はこの前負荷の増大で心不全は軽快する方向に動きます。
しかしながらある一定の状況を超えると体に余分な水分が貯留し下腿の浮腫や肺うっ血などの原因になります。
慢性腎臓病があると多くの場合体液貯留傾向にあることから心不全は悪化します。
ですので慢性腎臓病を合併する心不全は治療に難渋する場合も稀ではありません。
ところで、この慢性腎臓病という病名は私が研修医の頃はあまり馴染みのないものでした。
当時は慢性腎臓病という呼び方はせず、個々の腎疾患を病理診断名と臨床診断名の両方で呼ぶのが一般的で中にはこの両者が同じ名前の場合もあり慣れるまで混乱することもあったと思います。
病理名は例えば、膜性腎症、層状糸球体硬化症、メサンギウム増殖性糸球体腎炎や悪性腎硬化症などどいった具合です。
臨床診断名としては糖尿病性腎症、ループス腎炎、IgA腎症や悪性高血圧などどいった具合です。
その各々が予後も違えば治療方法も異なりますのでまず診断名をつけることから始まりました。
目標は透析回避でした。
ところが、その後これらの病気の方々は慢性腎不全で命を落とすよりむしろ合併する心血管疾患が生命予後規定因子であることが証明されました。
それ以来は個々の診断はさておいて慢性腎臓病という病名で一括に扱い心血管疾患予防に重点を置いた治療が中心となりました。
このことについて私は若干の違和感があります。
もちろん慢性腎臓病の方の心血管疾患予防は大切なことなのですが、個々の病型によっては腎不全になるものも存在しますし多くの慢性糸球体腎炎には各々に適した治療方法もあり腎機能悪化を食い止める方法がある場合もあります。
ですので、慢性腎臓病という呼び名はそれだけで終わってはいけないと思うのです。
今回は少々愚痴っぽい話でした。
稀なものですが緊急を要する高血圧も存在します。
拡張期血圧が120-130mmHg 以上で放置すると臓器障害が急速に進行するものです。
この状態では悪性腎硬化症と言われる急激な腎機能の低下があり、しれがさらに血圧を上昇させるという悪循環に陥りますので緊急の降圧が必要です。
腎臓以外に眼では網膜出血や乳頭浮腫がみられ脳浮腫を伴えばふらつきなどの症状もあります。
緊急時の診断では網膜病変を用いることが多く海外では
「網膜出血や乳頭浮腫を伴う高血圧」
と呼ばれることもあります。
1970年代は一旦この加速型悪性高血圧を発症すれば5年生存率は32%、すなはち5年以内に3人のうち2人が死亡すると言われていましたが、最近はこの加速型悪性高血圧そのものの頻度が低下し、治療方法の進歩により現在では5年生存率は90%以上です。
但し、発症時の腎機能の低下の程度が予後予測因子で腎機能障害が高度の場合は注意が必要です。
当院では8月から新しい電子カルテを導入しそれに伴い院内のシステムも若干の変更をしております
診察券は磁気カードになり受付や自動精算機に使用できます
スマホを診察券として使用でき自宅から診察の順番取りができます
これ以外にも新しい機能に私自身が驚かされることがあります
問診はユビーのAI問診を採用しているのですが、この問診票をスマホから記入いただくと電子カルテには
可能性のある病気一覧が表示されそれに関する診療ガイドラインや新しい情報が表示されます
実際に私が下した診断名を記入することでAIは学習しさらに進化します
電子カルテでは検査結果から短期間で再検査が必要である警告が表示されますし、薬同士の相互作用の警告も画面に現れます
処方を記入しようとすると候補薬の一覧が表示されるのですが
「どうして私が処方したい薬が分かるの?」
と聞きたくなるような一覧が現れその中からクリックするだけで容量用法まで自動入力されます
さらに「帯状疱疹ワクチンを推奨される方です」といった予防医学の警告も出ますから驚きです
先日トヨタ自動車のハイブリッドシステムの解説書を読みました
以前からエンジンとモーターをどうやって組み合わせ変速するのかに興味があったのですが実際に読んでその発想に驚きました
基本理念はシンプルなのですが実用化するシステムはまさに革命的でノーベル賞級の発明でした
世界中がEVシフトなどど言っていますが、他のメーカーがトヨタについていけないのでEVに逃げただけなのでは?と思わせるくらいの、ある種天才的な発想でした。
技術の進歩は常に人を幸せにすると信じています
新しい技術を開発した人には本当に敬意を感じます
アントニオ猪木さんがこの病気でお亡くなりになって心アミロイドーシスという病名を何度かネット上で聞くことがありました。
今まで一般になじみのなかった理由は、以前は確定診断に心臓カテーテルを用いた心筋生検が必須だったからです。
心筋の一部を切除し病理検査で心筋のアミロイド沈着を検出するのですが、当時は治療薬がないこともあって一般に普及はしませんでした。
現在ではピロリン酸テクネシウムを用いた心筋シンチグラフィーで診断が可能になり、またタファミジス・パチシラン・ダラツムマブといった治療薬が開発され治療も可能になりました。
壮年以降に発見された心肥大の約9%はアミロイドーシスと言われています。
心アミロイドーシスは高率に手根管症候群を合併します。
健診で心肥大を指摘され手根管症候群の既往のある方はこの病気を疑う必要があるかもしれません。
今月から新しい受付のシステムを導入しております。
スマートフォンをお使いの方はデジスマ診察券というアプリをダウンロードして頂ければ診察券として利用頂けます。
自宅からスマートフォンで診察の順番が予約可能で、あと何人待ちかがリアルタイムにスマホに表示されます。
時間を見計らってご来院頂ければ院内でお待ちいただく時間は短くなります。
また予めクレジットカードを登録しておけば後日自動引き落としになり窓口での会計が不要です。
さらに10月ごろをめどに電子処方箋を導入致しますので、窓口で処方箋を受け取る必要もなくなり、診察後は直接薬局に向かえば良いだけになります。
またこのアプリはオンライン診療にも活用できます。
ぜひご活用ください。
心臓そのものの収縮能や拡張能とは別に心臓の外から心不全を規定する因子があります。
心臓の前、すなはち心臓に流入する血液量が増えれば拡張期に心臓は大きく拡張し、スターリングの法則に従いそれだけ心臓は強い力で収縮します。
これを前負荷と言います。
これは心不全を代償しようとする生理的な反応ですので、スターリングの法則に従い心臓の収縮が強められている状況では循環血液量を減らし前負荷を低下させる利尿剤は心不全を悪化させます。
しかしながら前負荷が上昇しすぎて心臓が流入する血液を処理しきれなくなる、体のむくみや肺うっ血がある状況では利尿剤は心不全を改善します。
利尿剤ももろ刃の剣ですね。
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