最近成人のRSウィルス感染を啓蒙するテレビCMが流れていますね。

RSウィルス感染というと小児疾患の印象がありますが、成人にも感染します。

体力のある大人でしたら単なる感冒といった印象しかないのですが60歳以上の方が感染した場合には肺炎など合併する頻度が高くなり時として致死的経過をたどるケースも見られるようです。

最近RSウィルスに対するワクチンが発売されました。

対象は60歳以上の成人ですが、重症化を予防する効果があるとのことです。

一度接種するとしばらく効果は持続し毎年接種する必要はないそうです。

ただし、インフルエンザや肺炎球菌ワクチンなどのような自治体からの補助はなく全額実費で25,000~30,000円程度の費用がかかります。

高額なワクチンですので常に在庫している医療機関は少ないと思います。

ご希望の方はお問い合わせください。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230828/k10014177051000.html

 

診察室で測定した血圧は高くないにも関わらず自宅などで測定した場合に高血圧の基準を満たす場合には仮面高血圧と言い、

早朝高血圧

昼間高血圧

夜間高血圧

があります。

高血圧の基準は診察室では140/90ですが、自宅で測定する場合は135/85です。

ただし、夜間高血圧の場合には独自の基準があり120/70です。

厳密には24時間血圧計を用いて測定した平均値から判断するのですが家庭血圧計で代用することも可能です。

夜間高血圧も脳血管疾患や認知機能低下の原因となることが分かっています。

 

仮面高血圧には昼間高血圧も含まれます。

身体活動の多い時間帯で、職場や家庭での精神的ストレスや身体的ストレスが原因でストレス下高血圧とも呼ばれます。

特に肥満の方に多く生活習慣の改善や適性体重の維持が必要です。

これも他の仮面血圧と同様診察室外血圧が診断基準なので、基準は135/85が高血圧の基準となります。

 

 

仮面高血圧とは診察室では高血圧ではなくても、それ以外の状況では高血圧を呈する場合を指し

①早朝高血圧

②昼間高血圧

③夜間高血圧

があります。

早朝高血圧の原因として

飲酒・喫煙

寒冷

血管の硬化

短時間作用型の降圧剤の不適切な処方

等があります。

冬場は特に朝の血圧が上昇します。

十分な睡眠をとり部屋を暖かくし、トイレも暖かくして下さい。

 

遅くなりましたが、新年あけましておめでとうございます。

今日はクリニックで鏡開きでした。

今では昔と違って鏡餅型の樹脂容器の中身は個包装された小餅です。

この方が衛生的で鮮度も保てるので良いですね。

私もスタッフの作ってくれた美味しい善哉を頂きました。

甘党の私にはたまらない御馳走で、疲れも吹き飛ぶ思いでした。

今年もよろしくお願い致します。

 

 

グリチルリチンはある種の漢方薬や健康補助食品に含まれますが、内因性のコルチゾール(ステロイドホルモン)の効果を増強し血圧を上昇させます。

グリチルリチンの摂取量・接種期間に比例し高血圧が発症しやすくなります。

特に60歳以上の方は危険と言われています。

コルチゾールはナトリウムを貯留するのと同時にカリウムを排泄しますので、多くの場合低カリウム血漿をきたします。

こういう場合は該当する健康補助食品を中止してもすぐには血圧は低下せず、血圧の正常化には数週間~数か月を要します。

健康補助食品による高血圧は案外盲点です。

健康補助食品を常用されている方はお気を付けください。

 

 

知人に勧められて新しい本を読んでいます。

「最悪の予感(マイケル・ルイス)」です。

結局日本では新型コロナウィルスによる死者は7万人台でしたが、アメリカでは実に100万人以上の方がお亡くなりになりました。

その原因をCDC(アメリカの疾病予防センター)の失策だと起訴するような内容だそうです。

後知恵で批判することはフェアーではないとは思いますが、反省は必要で私自身今回のパンデミックで多くのことを学びました。

ウィルスは常に変異をしており、同じようなパンデミックはまた来ると思います。

今回の一連の出来事から何を学ぶのかが、今必要なことと考えています。

次はもっと上手くやれるように備えなければいけません。

 

寒い冬の朝に脳卒中が多いことは以前から知られています。

寒い冬の朝、特に暖房の入っていないトイレで急に血圧が上昇し脳卒中を発症することは稀ではありません。

寒い冬は一晩中でも暖房を入れること、または早朝にタイマーで暖房を入れることは急激な血圧上昇を予防するのに効果的です。

しかしトイレにまで暖房を設備している家は稀でしょうから、冬の朝にはトイレに注意が必要です。

トイレだけ寒くならないように冬場はトイレのドアは開けっ放しにすることをお勧めしていますが、それだけでは十分ではない場合には電気ストーブをお勧めしています。

ルームエアコンはスイッチをお入れてから部屋が温まるまで数分は必要ですが電気ストーブですと特に狭いトイレなどでは数秒で暖かくなります。

コンセントさえあればすぐにでも設置できますのでトイレの暖房にはお勧めです。

 

血圧の高度の上昇によって高血圧性脳症などの臓器障害が進行する場合は高血圧緊急症と呼び入院の上緊急降圧の対象となりますが、単に血圧が上昇しているのみで臓器障害のない場合は切迫症と呼びます。

切迫症は緊急降圧によって予後が改善するというエビデンスはなく、緊急降圧の対象とはなりません。

急な血圧上昇は寒暖差・精神的ストレス・不眠などでおこりますが原因が取り除かれると、例えば暖かい部屋でリラックスし十分な睡眠をとることで低下します。

ですので慌てて降圧剤を追加内服すると、原因が取り除かれて血圧が安定するころに降圧剤の効果が表れて過降圧をきたしかえって臓器障害を引き起こす可能性があります。

現在血圧を下げる薬ー降圧剤はたくさんありますが、血圧の変動を抑える薬はありません。

あえて言うなら精神安定剤や睡眠薬でしょうか?

血圧の日内変動や日間変動が臓器障害を悪化させるというエビデンスは存在しますが、その変動を抑える薬はありません。

個人的にはそういった薬の開発を望んでいるのですが、まだ開発されていないのが現状です。

 

 

緊急に血圧を下げる必要のある状態を高血圧緊急症と呼びます。

単に血圧が高いのみではこの高血圧緊急症には該当せず切迫症と呼びます。

網膜出血・脳出血・高血圧性脳症・子癇などの高血圧による臓器障害が進行している状況や、脳梗塞血栓溶解療法後や冠動脈バイパス術後などの高血圧による臓器障害が危惧される状況が該当します。

これら高血圧緊急症に該当する場合は原則として入院し、内服薬ではなく持続注射薬で降圧を行います。

この高血圧緊急症では急激で過度な降圧は臓器障害を悪化させる可能性がありはじめの1時間での降圧は25%未満にしなければなりません。

持続注射薬を用いる理由は、作用時間が短く下がり過ぎた場合にすぐに投与を中断し過降圧にならなくて済むからです。

内服薬を投与してしまうと効果が強すぎても中断することができず過降圧による臓器障害を招きかねないからです。