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4月12日~4月14日は東京で日本内科学会でした。

私はオンラインで参加しいくつかの講演を聞きました。

その中で、東海大学の先生の「急性冠症候群の急性期治療」という講演が印象的でした。

急性冠症候群は急性心筋梗塞と不安定狭心症を含み世界統計では現在死因の第一位です。

非常に死亡率が高く発症後90分以内に閉塞した血管を再開通させることが重要です。

これは多くの場合、緊急の心臓カテーテル治療によって達成されますが日本ではこの達成率が非常に高く死亡率は世界平均が約30%であるのに対して日本では3%以下と世界一です。

一方、発症者数は世界的には減少傾向にあるのに対して日本では今なお増加傾向です。

それでもさらに死亡数は減少を続けておりこれは日本のカテーテル治療の体制が行き渡っているからです。

しかしながら医師の働き方改革により、この体制を維持するのが困難であろうとの見方が大半で、今後急性冠症候群死亡率世界一を維持するのは困難であろうと考えられています。

死亡者数を減らすには発症者を減らすことです。

スタチン剤によって血中LDLコレステロールを低下させることが最も効果的な予防策なのですが、未だ認知度は低く、脂質異常症は症状が無いため内服治療を好まなかったり途中で治療を止める人が多いのが現状です。

どうすればもっと多くの方が脂質異常症の治療に積極的になってくれるのかが私の今の一番の関心事です。

 

今年もクリニックのつつじが満開を迎えました。

本当にきれいな色で圧倒される奇麗さです。

私は歴史小説が好きで特に戦国時代と太平洋戦争に関するものが好きなのですが、このつつじを見るといつも戦国時代の武将武田信玄を思い出します。

躑躅が崎と呼ばれる館に住み城を持たなかった珍しい存在です。

下剋上と言われるように権謀術数の時代にどうやってあれだけの家臣団や部下の心をつかんだのか、その人間力には本当に興味があります。

実の父を国外追放し、実子を切腹に追い込みながら一方で家臣の忠誠を引き出すとはいったいどんな人間だったのか、外からは推し量ることのできない苦悩があったにちがいありません。

そんな英雄がこのつつじを眺めながら何を考えていたもでしょうか?

そんなことを考えるのも今の時期だけの楽しみです。

私が奈良県立医科大学で医学を学んだ昭和56年~62年はまだ内科診断学全盛の時代でした。

内科診断学とは視診・触診・聴診などの身体所見から病状・診断を探ろうとする、当時は医師の基本技術と考えられていたものです。

心臓の聴診だけで、弁膜症の名前と重症度を言い当てる言わば名人芸のような技術を磨くことが重要視されていました。

現在では超音波検査をすればすぐにわかるのですが、その当時は聴診器が武士の魂である刀の様なものでした。

自慢するわけではありませんが、今でも心臓の音だけで例えば

「大動脈弁狭窄症で左心室・大動脈圧較差は25mmHg」

「三尖弁閉鎖不全 2/Ⅲ」

と言った診断ができます。

その分聴診器にはこだわりがあってオープンベルとダイアフラムの使い分けにも気を遣います。

ダイアフラムは胸壁に押し当てる強さで聞こえる心音の周波数が変化しますので、あて方によって聴こえる音と聴こえない音があります。

奈良県立医科大学の助教授で後に東大第二内科の助教授になられた武内重五郎先生の名著「内科診断学」も今となっては歴史的遺産になるのかもしれません。

日々新しい技術が開発され、当院で採用しているウェブ問診では患者さんが問診にこたえ終わると同時にAIが診断候補を提示してくれます。

私は最新の技術は「使った者の勝ち」だと思っています。

 

4月からはCOVID19に対する政策が変わります。

発熱外来を実施していない全ての医療機関で、ほかの患者から隔離することなく対応することが可能となります。

現実に医療機関によってはほかの患者さんと同じ待合室で発熱患者さんにお待ちいただくというケースも見られるようになるかもしれません。

しかしながら、当院では従来通りに発熱の方は予め電話でお申し込み頂き、ほかの患者さんとは別のお部屋でお待ちいただくというシステムを継続したいと思います。

通院治療をされている方の中には重症の呼吸器疾患・心疾患をお持ちの方や免疫能が低下し一旦感染すれば重症化が予測される方も多くおられます。

そういった方を感染から守るためには必須の方法だと考えます。

また、政策により新型コロナに対するワクチンの公費摂取は3月末で終了いたします。

インフルエンザウィルスと同様に頻繁に流行株の変異が起こり新しい免疫を獲得するために半年または一年毎のワクチン接種が必要となるかも知れません。

恐らく今秋には追加接種に関する情報が発表されると思いますが、どの程度の公費補助があるのかは未定です。

分かり次第このHPでお知らせいたします。

 

最近成人のRSウィルス感染を啓蒙するテレビCMが流れていますね。

RSウィルス感染というと小児疾患の印象がありますが、成人にも感染します。

体力のある大人でしたら単なる感冒といった印象しかないのですが60歳以上の方が感染した場合には肺炎など合併する頻度が高くなり時として致死的経過をたどるケースも見られるようです。

最近RSウィルスに対するワクチンが発売されました。

対象は60歳以上の成人ですが、重症化を予防する効果があるとのことです。

一度接種するとしばらく効果は持続し毎年接種する必要はないそうです。

ただし、インフルエンザや肺炎球菌ワクチンなどのような自治体からの補助はなく全額実費で25,000~30,000円程度の費用がかかります。

高額なワクチンですので常に在庫している医療機関は少ないと思います。

ご希望の方はお問い合わせください。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230828/k10014177051000.html

 

遅くなりましたが、新年あけましておめでとうございます。

今日はクリニックで鏡開きでした。

今では昔と違って鏡餅型の樹脂容器の中身は個包装された小餅です。

この方が衛生的で鮮度も保てるので良いですね。

私もスタッフの作ってくれた美味しい善哉を頂きました。

甘党の私にはたまらない御馳走で、疲れも吹き飛ぶ思いでした。

今年もよろしくお願い致します。

 

 

知人に勧められて新しい本を読んでいます。

「最悪の予感(マイケル・ルイス)」です。

結局日本では新型コロナウィルスによる死者は7万人台でしたが、アメリカでは実に100万人以上の方がお亡くなりになりました。

その原因をCDC(アメリカの疾病予防センター)の失策だと起訴するような内容だそうです。

後知恵で批判することはフェアーではないとは思いますが、反省は必要で私自身今回のパンデミックで多くのことを学びました。

ウィルスは常に変異をしており、同じようなパンデミックはまた来ると思います。

今回の一連の出来事から何を学ぶのかが、今必要なことと考えています。

次はもっと上手くやれるように備えなければいけません。

 

10月29日は約1年ぶりのドラディション大阪大会です。

今回はタッグトーナメントだそうです。

私はもちろん観戦する予定です。

当日が楽しみです。

 

クリニックにご縁のある方のご子息が新しくオープンしたお寿司屋さんの店長になられました。

鮨むら川 です。

https://tabelog.com/osaka/A2705/A270502/27135405/

地産地消をモットーに泉州産の魚や野菜を美味しく供してくれます。

大阪市内の高級店に負けないお店とお寿司でした。

店長は男前で女性ファンが殺到するかもです。

 

 

新型コロナウィルスが5類に変更後最大の流行を迎えています。

全例報告ではないので正確な数字は不明ですがどうやら過去最大の流行になりそうな勢いです。

インフルエンザウィルスが毎年変異を遂げ毎年ワクチンを接種しなければならないのと同様、新型コロナウィルスも常に新しい変異株が出現します。

デルタ株が大流行したのはご記憶の通りですが、現在流行の主流はオミクロン株です。

そしてオミクロン株も多くの変異した亜型が存在しそのうち特に感染力が強いなど注意するべき株は図の通りです。

問題は自分がその株にどの程度抵抗力があるのかということですが、新たに流行している株は多くの変異があり旧来のワクチン接種では予防できないことが多くみられます。

現在話題のEG.5(通称エリス)やBA.2.86(通称ピロラ)は現在われわれが持っている免疫力では感染を防げなさそうで大流行の可能性が指摘されています。

追加ワクチン接種はぜひ受けて下さい。