高血圧の話 46 糸球体過ろ過 5

糸球体過ろ過が持続するとブレナーのハイパーフィルトレーション・セオリーに従い糸球体濾過率は低下し腎不全に向かいます。

このような腎機能低下は糖尿病以外にも高血圧による動脈硬化でも起こります。

病理的には糸球体硬化症と呼ばれ臨床的には腎硬化症と呼ばれます。

実はこの腎硬化症は今日では極めて多くみられます。

但し、腎硬化症には糸球体硬化症以外にも、糸球体輸入細動脈直前の動脈の硬化が原因の場合もあります。

ストレイン・ベッセルと言われるこの血管は太さが数ミリメートルしかないにもかかわらず、大動脈と大して変わらない圧力がかかります。

そのため動脈硬化を起こしやすく、これが原因で腎機能が悪化するケースもあります。

一般には糸球体の過ろ過の場合にはアンジオテンシン変換酵素阻害薬やアルドステロン受容体拮抗薬を処方するのですが、このストレイン・ベッセルの硬化の場合には逆効果になりますので注意が必要です。

こういう場合にはカルシウム拮抗薬が最適です。