雑談 49 虚血性心疾患と働き方改革
4月12日~4月14日は東京で日本内科学会でした。
私はオンラインで参加しいくつかの講演を聞きました。
その中で、東海大学の先生の「急性冠症候群の急性期治療」という講演が印象的でした。
急性冠症候群は急性心筋梗塞と不安定狭心症を含み世界統計では現在死因の第一位です。
非常に死亡率が高く発症後90分以内に閉塞した血管を再開通させることが重要です。
これは多くの場合、緊急の心臓カテーテル治療によって達成されますが日本ではこの達成率が非常に高く死亡率は世界平均が約30%であるのに対して日本では3%以下と世界一です。
一方、発症者数は世界的には減少傾向にあるのに対して日本では今なお増加傾向です。
それでもさらに死亡数は減少を続けておりこれは日本のカテーテル治療の体制が行き渡っているからです。
しかしながら医師の働き方改革により、この体制を維持するのが困難であろうとの見方が大半で、今後急性冠症候群死亡率世界一を維持するのは困難であろうと考えられています。
死亡者数を減らすには発症者を減らすことです。
スタチン剤によって血中LDLコレステロールを低下させることが最も効果的な予防策なのですが、未だ認知度は低く、脂質異常症は症状が無いため内服治療を好まなかったり途中で治療を止める人が多いのが現状です。
どうすればもっと多くの方が脂質異常症の治療に積極的になってくれるのかが私の今の一番の関心事です。