心不全の話 15 心アミロイドーシス

アントニオ猪木さんがこの病気でお亡くなりになって心アミロイドーシスという病名を何度かネット上で聞くことがありました。

今まで一般になじみのなかった理由は、以前は確定診断に心臓カテーテルを用いた心筋生検が必須だったからです。

心筋の一部を切除し病理検査で心筋のアミロイド沈着を検出するのですが、当時は治療薬がないこともあって一般に普及はしませんでした。

現在ではピロリン酸テクネシウムを用いた心筋シンチグラフィーで診断が可能になり、またタファミジス・パチシラン・ダラツムマブといった治療薬が開発され治療も可能になりました。

壮年以降に発見された心肥大の約9%はアミロイドーシスと言われています。

心アミロイドーシスは高率に手根管症候群を合併します。

健診で心肥大を指摘され手根管症候群の既往のある方はこの病気を疑う必要があるかもしれません。