自分はコロナワクチンを接種してよいのか、のお問い合わせを多数頂きます。

ワクチンの絶対的な禁忌はこのワクチンの成分に対するアレルギーをお持ちの方です。

特にポリエチレングリコールという成分にアレルギーをお持ちの方は接種できません。

具体的には

・降圧薬の「カンデサルタン」(先発品のブロプレスは含みません)

・降圧薬の「イルアミクス配合錠」(先発品のアイミクスは含みません)

・大腸内視鏡前に用いる腸管洗浄剤「ニフレック」

・関節リウマチや腎疾患に用いる「ミゾリビン」

・塗り薬の「ウレパールローション」「フルコートF」

でアレルギーを経験した方はコロナワクチンは禁忌です。

また、最近発熱した方は解熱してから一カ月以上開けることが推奨されます。

コロナウィルスに感染した方は、感染後数カ月はコロナウィルスに大して強い免疫がありますのでワクチン接種を遅らせることを考慮してもよいとされています。

アトピー性皮膚炎・気管支喘息・蕁麻疹・花粉症・食物アレルギーの方は接種可能ですが接種後30分の経過観察が推奨されています。

他のワクチンを接種した方は2週間以上開けてコロナワクチンを受けて下さい。

コロナワクチン接種後に他のワクチンを接種される場合も2週間以上開けてください。

昨日5月19日より当院でもコロナワクチン接種が始まりました。

私も医療従事者として2度の接種が終わりました。

摂取量が0.3mlと少ないこともあり痛みは殆どありませんでした。

一度目の接種後には全く副作用はなく、二度目の接種翌日に若干の微熱がありましたが解熱剤を服用し横になっていましたら2時間ほどで症状はなくなりました。

その後は何もありません。

コロナ肺炎は死亡率1~2%という恐ろしい病気です。

摂取のメリットはデメリットをはるかに上回ります。

ぜひ接種を受けてください。

勤務医時代ある病院で院内感染対策委員会の委員長を務めたことがあります。

院内感染対策ガイドラインを策定するために10冊ほどの感染症に関する成書を読みました。

それらの多くの本の巻頭に書かれている言葉があります。

『無知は恐れる』

感染対策をするにあたって我々人類が数々の過ちを犯してきましたが近年日本人が犯した有名な過ちがらい病に関するものです。

以下、厚生労働省のHPから転記します。

この病気にかかった者は、仕事ができなくなり、商家の奥座敷や、農家の離れ小屋で、ひっそりと世の中から隠れて暮らしたのです。ある者は家族への迷惑を心配し、放浪の旅に出る、いわゆる「放浪癩」と呼ばれる人がたくさんいました。
明治になり、諸外国から文明国として患者を放置しているとの非難をあびると、政府は1907年(明治40年)、「癩予防に関する件」という法律を制定し、「放浪癩」を療養所に入所させ、一般社会から隔離してしまいました。この法律は患者救済も図ろうとするものでしたが、これによりハンセン病は伝染力が強いという間違った考えが広まり、偏見を大きくしたといわれています。

 1929年 (昭和4年)には、各県が競ってハンセン病患者を見つけだし、強制的に入所させるという「無らい県運動」が全国的に進められました。さらに、1931年(昭和6年)には従来の法律を改正して「癩予防法」を成立させ、強制隔離によるハンセン病絶滅政策という考えのもと、在宅の患者も療養所へ強制的に入所させるようにしました。こうして全国に国立療養所を配置し、全ての患者を入所させる体制が作られました。 こうした政府の対応に対し、ハンセン病研究者の小笠原医師は、ハンセン病は不治の病ではないという考えから、強制隔離や入所者が結婚する条件として行われていた優生手術(避妊手術)などに反対をしましたが、当時の学会などでは彼の主張は認められませんでした。戦後になっても状況は変わらず、1948年(昭和23年)に成立した「優生保護法」では、その対象としてハンセン病が明文化されました。その一方で、入所者たちも、自分たちは犯罪者ではなく病人であり、もうすぐ治るはずだ、このような状況は改善されるべきだと考えていました。そして1951年(昭和26年)、全国国立らい療養所患者協議会(全患協)をつくり、法の改正を政府に要求していきますが、1953年(昭和28年)、患者たちの猛反対を押し切って「らい予防法」が成立しました。この法律の存在が世間のハンセン病に対する偏見や差別をより一層助長したといわれ、患者はもとよりその家族も結婚や就職をこばまれるなど、偏見や差別は一向になくなりませんでした。また、ハンセン病であることを隠して療養所の外で暮らしていた方々も、差別を恐れ、また、適切な医療を受けられないなど大変な苦労をしました。
1996年(平成8年)になってようやく「らい予防法」は廃止されましたが、入所者は、既にみな高齢(平均年齢76.0歳〈平成15年5月〉)となっており、後遺症による重い身体障害を持っている人もいます。また、未だに社会における偏見・差別が残っていることなどもあって、療養所の外で暮らすことに不安があり、安心して退所することができないという人もいます。1998年(平成10年)7月、熊本地裁に「らい予防法」違憲国家賠償請求訴訟が提訴され、翌年には東京、岡山でも訴訟が提訴されました。2001年(平成13年)5月11日、熊本地裁で原告(患者・元患者)が勝訴、政府は控訴をしませんでした。これをきっかけに6月には衆参両院で「ハンセン病問題に関する決議」が採択され、新たに補償を行う法律もできました。国は患者・元患者さんたちに謝罪をし、2002年(平成14年)4月には、療養所退所後の福祉増進を目的として、「国立ハンセン病療養所等退所者給与金事業」を開始、啓発(広く知ってもらう)活動を積極的に行うなど、名誉回復のための対策を進めています。

不勉強で正しい知識を持たない人ほど感情的になり、誤った対処で人を傷つけかねないという反省です。

テレビやインターネットには情報が氾濫していますが、それらの情報は玉石混合で、明らかに誤った情報も多くみられます。

飛沫感染と空気感染の違いを正しく説明できるでしょうか?

何が正しく何が間違っているのかは、まず正しい知識がないと判断ができません。

噂や思い込みを盲信せず、何でも良いですからまず感染症対策に関する本を一冊読んでみると無用な不安は消失し誤ったことをしなくて済むと思います。

 

4月20日から高齢者向け新型コロナワクチン券の発送が開始しました。

https://www.city.sakai.lg.jp/kenko/kenko/kansensho/kansensho/corona/wakuchin/yoyaku_houhou.html

 

当院での接種予約は

75歳以上の方は5月10日~

65歳以上74歳以下の方は5月17日~

開始します。

予約の方法につきましては現在検討中で決まり次第当サイトでお知らせいたします。

中枢性交感神経抑制薬は、降圧作用がすぐに実感できるほど顕著で副作用も少ない降圧剤が多数発売されている今日では出番の少なくなった薬剤です。

薬剤としてはメチルドパ・クロニジン・グアナベンズがあります。

メチルドパは妊娠中にも安全に投与できるので主に妊娠中の高血圧に対して処方されます。

クロニジン・グアナベンズはα遮断薬と同様早朝高血圧に効果的とされていますが、倦怠感や立ちくらみなどの副作用が見られることがあり最近はあまり処方されなくなりました。

交感神経にはα(アルファ)受容体とβ(ベータ)受容体がありその両方ともが降圧剤として臨床応用されています。

α遮断薬は主に血管平滑筋の収縮を抑え、すなはち血管を拡張させ血圧を下げます。

ですのでどうしても立ちくらみといった起立性低血圧の副作用が散見されます。

一過性の副作用で大事に至ることは殆どありませんが、服薬開始時には注意が必要です。

他に降圧効果の強い製品が多く市販されていますので出番は少なくなってきていますが、前立腺肥大による排尿障害を抑制しますので前立腺肥大を併発されている方にはうってつけの薬です。

その他に早朝高血圧の方にも好んで投与されます

私は金の聴診器を持っています。

どうやってこの金の聴診器を手に入れたかお聞きください。

 

私が奈良県立医大第一内科に在籍していたもう30年以上前の話です。

当時、附属病院と研究棟は別棟でその間は数十メートル離れていました。

その間を歩いて移動するのですが、途中に小さな池がありました。

ある日その池のほとりを歩いていた時のことです。

不注意にも白衣のポケットに入れていた聴診器を池に落としてしまったのです。

「しまった」と思いながら池の中を覗き込んでいましたら、池の中から白いドレスに身を包んだ女神の様な女性が現れました。

その女性は私に

「あなたの落とした聴診器はこの鉄の聴診器?この銀の聴診器?あるいはこの金の聴診器?」

と尋ねました。

「私が落としたのはアルミの聴診器です」

と答えますと、その女性は一瞬ムッとした面倒くさそうな表情になりましたが、すぐに気を取り直して

「あなたは正直なドクターです。ご褒美にこの金の聴診器を差し上げましょう」

とこの金の聴診器をくれました。

世の中には不思議なことがあるものです。

(2021年4月1日)

 

ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬も利尿剤の一種なのですが、他の利尿剤とは働きが違うので別に語られることが多い薬です。

ミネラルコルチコイドはアルドステロンのことで原発性アルドステロン症治療に大して用いられます。

アルドステロンは単に血圧を上げる以外に多くの臓器を直接傷害し、本態性高血圧に比して極めて予後が悪いことから別に扱われ、用いる降圧薬も異なります。

一般に処方されるミネラルコルチコイド受容体拮抗薬にはスピロノラクトン(アルダクトン)やエプレレノン(セララ)があります。

利尿剤なので尿量が増え心臓の負担が減少しますから心不全治療にも用いられます。

代表的な副作用は高カリウム血症ですので腎不全の方には要注意です。

他に、乳房が大きくなり男性でも女性のような乳房になることがあります。

アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)はアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)と作用機序が類似しており効果の面でも似通っている薬なのでひとくくりに論じられることも多いと思います。

ARB同様に腎機能の保護作用がありまた狭心症などの冠動脈疾患の発症リスクも軽減しますし、糖尿病患者の死亡リスクも低下させることが証明されていますから特に腎症を合併した糖尿病患者さんでは多用されます。

空咳という特有の副作用がありますが、一般には認知されていないせいか患者さん自身がこの咳を降圧薬の副作用とは自覚しないケースも珍しくありません。

降圧効果はARB同様と言われていますが、実臨床ではARBより劣る印象があります。

実は空咳の副作用はアジア人に多く、日本での投与量が欧米に比して低く設定されているからだと思います。

ですので一般にはARBの方が多用されているようです。

 

ところで、この満月の写真は私の英会話の先生 Mike Hoyer さんがバンクーバーから送って下さったものでカナダでは warm moon と呼ばれるそうです。

この満月をきっかけに徐々に暖かくなり春を実感するそうです。

日本では春は梅や桜といった植物で感じることが多いと思いますが、緯度の高いカナダでは冬は昼間の時間が極端に短くなるので空を見て季節を感じるのでしょうね。

 

warm moon

利尿薬はナトリウムを排泄し尿量を増やし体液量を減らすことにより血圧を下げます。

ですから塩分過剰の方、浮腫(むくみ)のある方、慢性腎臓病の方や糖尿病の方に適しています。

利尿薬は既に多くの臨床研究から多くのエビデンスが導き出されており、心臓や腎臓の合併症を予防する効果があります。

特に高齢者で糖尿病を合併した高血圧に適しており心不全の治療効果も期待できます。

一方副作用としてやはり頻尿や脱水がありますが、その他にも尿酸値や血糖の上昇また電解質の異常も見られることがあり注意が必要です。

夏場、汗の多い時期には特に脱水に注意してください。

最近糖尿病の治療薬としてSGLT2阻害薬が処方されますが、この薬にも利尿作用があり降圧効果があることも分かっています。

SGLT2阻害薬は利尿薬には分類されませんが降圧効果や心不全治療薬としても活用されており、また体重を減らす効果もありますので糖尿病以外の方への処方がされるようになってきました。