新型コロナ肺炎のためストレスの多い生活を余儀なくされている影響でしょうか、最近動悸を訴え受診される方が多いような気がします。

動悸の多くは何らかの不整脈が原因なのですが、不整脈のすべてが治療を必要とするわけではありません。

むしろ治療を要する不整脈はごく一部で大多数の不整脈は放置可能なものです。

現実に24時間心電図を解析して24時間で不整脈が1拍も無いという人を私は見たことがありません。

それほど不整脈は誰にでも起こるありふれたものです。

そしてその多くは精神的ストレス・不眠・喫煙・飲酒や過労などの生活環境に大きく影響を受けます。

動悸に対する不安感そのものが精神的ストレスとなりそのため不整脈が悪化するという悪循環はよく見受けられます。

とは言え急いで治療を要する不整脈が一部にあるのも事実で、今後高血圧の話と並行して不整脈についてもお話ししようと思います。

一般に危険な不整脈の特徴は動悸以外の症状があるものです。

特に注意が必要なものは血行動態の異常を疑う症状、例えば「頭から血の気が引くような感じがする」「足が浮腫む」「息切れがする」などの症状がある場合は注意が必要です。

一口に不整脈と言っても多くの種類があります。

このブログで少しづつ分かりやすく解説させて頂きます。

コロナウィルス感染者が急増しておりデルタ株がその原因と言われています。

デルタ株については「水痘(水ぼうそう)並みの感染力」と表現したCDC(米国疾病予防管理センター)の内部資料が公開されたことから一部では水痘と同じように空気感染するようになったと言う風評があるようです。

デルタ株は昨年末にインドで初めて発見されて今年の7月にアメリカのマサチューセッツ州で470名のクラスターを発生ししかもその多くがワクチン接種者であったことから一気に話題になりました。

まだ十分なデータがない状況では多くの誤った情報が流布し不安をあおります。

現在までにデルタ株で分かっていることは

・従来の株が一人の患者から2.5名に感染させていたのに対し、デルタ株は3.5~4.0名の人に感染させており感染力が強い(もっと多いという報告もあります)

・デルタ株の増殖速度が速くヒトの鼻腔粘膜に感染してから従来株の1.5倍の速度で増殖する

・ワクチン接種者での感染が報告されたものの現在の感染者の多くはワクチン未接種者であり、ワクチン接種者では感染・重症化ともに低率である

ということです。

空気感染するという根拠はないようです。

鼻腔粘膜でのウィルス量が多く感染力が強いので

・ワクチン未接種者はできるだけ早くワクチンを受ける

・ワクチン接種した人もマスクを着用する

事が推奨されます。

ある人たちの集団を追跡調査し、二つの事象の関連を調べることを観察研究と言います。

例えばある地域の住民を「塩分摂取量」と「脳卒中発生率」に関して年余にわたり追跡調査し、

「塩分摂取量の多い人ほど脳卒中発生率が高かった」という事実を突き止めることを観察研究と言います。

この場合「塩分摂取量を減らすと脳卒中発生率が低下する」かは不明です。

そこで「塩分制限をした人たち」と「塩分制限をしなかった人たち」について追跡調査します。

そして「塩分摂取をすると脳卒中発生率が低下する」という事実を突き止めることを介入研究と言います。

「塩分制限」という治療で住民に介入するという意味です。

現実に「塩分摂取が多いと血圧は上昇し、塩分摂取を制限すると血圧は低下し脳卒中発生率は低下する」

ことは複数の観察研究・介入研究で証明されています。

1950年代の日本のある地域で実施された調査では日本人一日の塩分摂取量は25グラムにも達していたそうです。

2016年の調査では日本人一日の塩分摂取量は9.9グラムだそうですから大幅に減少しています。

この塩分摂取量減少の大きな要因は冷蔵庫の普及だと言われています。

冷蔵庫の普及により野菜や魚を塩漬けにして保存する必要がなくなり、塩分摂取量が減少したという訳です。

WHO(世界保健機構)では一日塩分摂取量は5グラム未満が推奨されていますから、我々はさらに減塩の必要があることになります。

冷蔵庫のような特効薬を考えているのですがなかなか妙案は浮かびません。

このパンデミック下では多くのことが初体験です。

発熱患者さんの受診を制限するなどということは想像すらしたことがありませんでしたし、国民全員に出来るだけ早くワクチンを接種するなどということも初めての経験です。

ワクチンを開発する会社、ワクチンを購入し自治体に供給する政府、ワクチンを分配・配送する自治体にそれを接種する医療機関。

皆が初めての作業を知恵を絞りながらすすめている状況では、予想と違って上手くいかないことの連続だと思います。

クリニックでこれだけ多くの方に予約をおとりした経験も初めてですし、こんなに多くの方の接種を急ピッチで進めていることも初めてです。

ワクチン供給が滞り、せっかく予約頂いた方に予定通り接種できるのか不安になったときは予約いただいた方々から相当厳しいお叱りを受けるものと覚悟しておりました。

しかしながら実際には多くの方々から、医療機関の苦労をお察しいただき暖かい励ましのお言葉を頂戴する日々です。

この危機的な状況にありながら他人に配慮される方々からは大切なことを教えて頂いたと思います。

上手くいかない時にこそ周囲の方の苦労を思いやる余裕の大切さを学びました。

当院では例年ひと冬(10月21日~1月31日)で約500名の方にインフルエンザワクチンを接種していますが、現在は一カ月に約650名のペースで新型コロナワクチン接種を実施しております。

ご不便をおかけすることも多いと思いますが、寛容なお心でお付き合いをお願い致します。

血圧は常に変動します。

精神的ストレスによるイライラ感・睡眠不足・疼痛・不安・便秘や気温の変動など多くの要因で血圧は急に上昇します。

家庭で血圧を測定し上昇していると、脳卒中などに対する懸念からさらに血圧が上昇し、上昇するとさらに不安になり・・・。

こんな一過性の血圧上昇は珍しいことではありません。

一過性の血圧上昇は一部の例外を除き緊急降圧の対象とはなりません。

多くの場合安静のみで降圧しますから、超短時間に血圧を下げる降圧剤を内服すると過度の降圧を招き脳や心臓の虚血を招きかねないので緊急降圧は禁忌です。

家庭で急な血圧の上昇に気づいた場合は麻痺や頭痛などの症状がない限りまず安静にして気持ちを楽にすることが最善の方法です。

 

心房細動という不整脈は長嶋茂雄さんが脳梗塞を発症してよく知られるようになりました。

血圧が高いと心房細動発症のリスクが増加しますし、

心房細動の方では血圧が高いほど脳卒中発症のリスクが増加します。

ですので心房細動の方では血圧の管理が極めて重要です。

一般に130/80未満を目標に血圧を調節するのが望ましいと言われています。

心房細動の方では脳梗塞予防のために抗凝固剤を内服することが多いのですが、この薬は脳出血のリスクにもなりますのでなおさら十分な降圧が必要です。

心房細動では脈拍が多いとそれだけで心不全を発症しますので脈拍を減らすベータ遮断薬を処方されることが多いです。

もちろん減塩が重要なことは言うまでもありません。

堺中央教会杉貴生牧師様の御計らいでカナダ人宣教師のマイク・ホイヤーさんから英会話を習っています。

バンクーバーに帰国された現在もオンラインでレッスンを受けていますが上達は牛歩の如しです。

英会話上達のコツはミスを恐れずにどんどん喋ることだということでへんてこりんなブロークンイングリッシュを話しますがホイヤーさんはいつも親切にご指導くださり本当に楽しく英会話を学んでいます。

いろんな話題につきディスカッションしますが外国人と日本人の人生観や価値観の違い、あるいは社会に対する認識の違いを実感します。

世界中でボランティア活動に精力的に尽力されている方なのですが、一言でいうと洗練された方です。

社会の中での自分の立場を客観的に理解され、報酬を求めず努力するという日常を送られています。

時として迷いが生じたときに参考になる賢人だと思います。

この出会いに感謝しています。

 

https://hoyers.blogspot.com/

ホイヤーさんのブログです。

世界中でボランティア活動をされた記録が勉強になります。

 

 

心肥大は心臓にかかる圧負荷により心臓の壁が厚くなった状態です。

高血圧に心肥大を合併すると心不全や冠動脈疾患あるいは死亡率そのものも上昇することが分かっています。

逆に降圧治療により心肥大が退縮するとこれらのイベントや突然死も減少することが証明されています。

ですので心肥大のある方には高血圧治療が特に重要です。

収縮期血圧130以下の降圧でこれらのイベント発生が抑制されますが、特にARB(アルドステロン受容体拮抗薬)とカルシウム拮抗薬でその効果が顕著です。

健康診断で心肥大を指摘された方は十分な治療が必要です。

green leaf

高血圧を放置すると多くの臓器に障害がでます。

脳卒中や心臓病、認知症などが代表的なものですがなかでも腎臓は血圧の影響を受けやすい臓器です。

腎臓は一言でいえば血液を糸球体というざるで濾して尿を作る臓器です。

ですので腎機能の低下すなはち腎不全は血液から不要な老廃物や余分な水分を取り除くことができなくなる病気です。

高血圧による腎臓の障害の代表は腎硬化症ですが、大きく分けて2種類があります。

一つは血液をろ過する糸球体の硬化で、分かりやすく言えば糸球体というざるの目がつまってくる状態で糸球体の障害を示唆する蛋白尿がみられるようになります。

この場合、高血圧により糸球体に過剰な負荷がかかりざるの目がつまってくるので、糸球体に対する過剰な負荷を抑えるために糸球体のろ過を抑える作用のあるARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)やACEI(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)を用います。

もう一つは糸球体の手前の細動脈の硬化です。

腎臓という臓器の特殊なところは大動脈から数センチしか離れていないにも関わらずすぐに細かい血管に枝分かれするという点で、1~2mmの細い血管に大動脈と大差のない高い圧力がかかることです。

この動脈をストレイン・ベッセルと呼びますがこの血管に動脈硬化がおこるとやはり腎機能の低下が生じます。この場合は糸球体の障害はないので蛋白尿はみられません。

こういう状態でARBやACEIを投与数すると逆効果で腎機能障害が進行してしまいます。

高血圧による腎臓の障害がみられた場合にはどういうタイプの障害なのかを見極めて治療することが必要です。

 

自分はコロナワクチンを接種してよいのか、のお問い合わせを多数頂きます。

ワクチンの絶対的な禁忌はこのワクチンの成分に対するアレルギーをお持ちの方です。

特にポリエチレングリコールという成分にアレルギーをお持ちの方は接種できません。

具体的には

・降圧薬の「カンデサルタン」(先発品のブロプレスは含みません)

・降圧薬の「イルアミクス配合錠」(先発品のアイミクスは含みません)

・大腸内視鏡前に用いる腸管洗浄剤「ニフレック」

・関節リウマチや腎疾患に用いる「ミゾリビン」

・塗り薬の「ウレパールローション」「フルコートF」

でアレルギーを経験した方はコロナワクチンは禁忌です。

また、最近発熱した方は解熱してから一カ月以上開けることが推奨されます。

コロナウィルスに感染した方は、感染後数カ月はコロナウィルスに大して強い免疫がありますのでワクチン接種を遅らせることを考慮してもよいとされています。

アトピー性皮膚炎・気管支喘息・蕁麻疹・花粉症・食物アレルギーの方は接種可能ですが接種後30分の経過観察が推奨されています。

他のワクチンを接種した方は2週間以上開けてコロナワクチンを受けて下さい。

コロナワクチン接種後に他のワクチンを接種される場合も2週間以上開けてください。