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心房細動の治療は

・リズムコントロール:心房細動を止めてしまい規則正しい脈にする

・レートコントロール:心房細動はそのままで脈拍をコントロールし心不全を予防する

の二つに分かれます。

リズムコントロールはアブレーションと言われるカテーテル治療で心房細動そのものを止める方法です。

数日の入院が必要ですが心房細動の不愉快な動機から解放され、場合によっては抗凝固薬が不要になります。

一方レートコントロールは心房細動そのものはそのままにして頻脈にならないよう脈拍をコントロールする治療で抗凝固薬を併用します。

動悸などの自覚症状が無い方はこの治療のほうが手軽なのですが、最近の臨床研究で長期予後はアブレーションの方が優れていることが徐々に分かってきています。

また最近では左心房の中でも特に血栓の好発する左心耳をウォッチマンというデバイスで閉鎖する左心耳閉鎖術が新しい選択肢として注目を浴びています。

この左心耳閉鎖術は併存疾患のため抗凝固薬が使用しにくい場合が適応です。

どの方法を選択するかについて、どちらのみが正解ということはなくて自分に合ったものを選べばよいのですが、最近の大規模な臨床研究の積み重ねからはクライオバルーンという冷凍焼却によるアブレーションが最も予後が良いことが示唆されています。

 

 

心房細動の最も恐ろしい合併症は何といっても血栓症とくに脳梗塞です。

心房内では血液が澱み血栓が形成され、それが血流にのって脳の血管に詰まると脳梗塞になりますので、この合併症だけは何としても予防しなければいけません。

血栓予防には抗凝固薬と言われる、血液を固まりにくくする薬を内服します。

当然出血の副作用がありますから、有益性が副作用を上回ると考えられる場合にのみ勧められます。

どういった方がこの抗凝固薬を内服するのかはCHADS2スコアで判断します。

CHADS2スコアとは

・Congestive heart failure:うっ血性心不全 1点

・Hypertension:高血圧 1点

・Age:75歳以上 1点

・Diabetes Mellitus:糖尿病 1点

・Stroke:脳梗塞の既往 2点

の5項目、6点満点で点数をつけ1点以上の方は抗凝固薬の内服が推奨されます。

また点数により推奨される薬剤に若干の差があります。

心房細動と診断されてもCHADS2スコアが」0点の場合には経過を見てよいということになります。

 

心房細動の最も多い症状はやはり動悸です。

心拍が全く不規則になりますから拡張期の長い後の収縮は拍出量が大きく「ドキン」とした胸の中でうさぎが跳ねたような感じがすることがありますし、直前の心拍との間隔が短く拡張期の短い収縮では拍出量が小さく「脈がとんだ」感じがします。

この不愉快な動機が持続しますので、なんとなく倦怠感があり集中力が途切れるような感じがする場合もあります。

しかしながらこの自覚症状は個人差があり、全く何の自覚のない方もおられます。

心房細動は心拍数が早くなるとそれだけで心不全になりうりますから場合によっては呼吸困難感やめまい・ふらつきあるいはむくみなどを訴える方もおられます。

このように心房細動の自覚症状は多彩で、一概に症状だけから診断することは困難ですが、心電図は有用で発作時の心電図はそれだけで確定診断に直結します。

多くの場合、緊急を要することはないのですがWPW症候群などの副伝導路症候群がある場合には心房細動が致死的になる場合もありますので注意が必要です。

治療を要する不整脈のうち最も頻繁に出会うのがこの心房細動だと思います。

そして最近ますますこの心房細動に出会う頻度が増えているような気がします。

心臓には心室と心房がありますがそのうちの心房の筋肉が細かく震えてしまい全体としての統制の取れた収縮をせずポンプ機能が失われた状況です。

心室に血液を送り込む能力が損なわれ心拍出量も20パーセント程度低下します。

特に拡張期(心室に血液の流れ込むタイミング)が相対的に短くなる頻脈の場合には心拍出量の低下が大きくなりますので頻脈性心房細動は心不全の原因になりうります。

しかし何といっても一番恐ろしいのは心房内で形成された血栓が血流にのって脳にとんで行く脳梗塞です。

したがって脳梗塞のハイリスクであると考えられる場合には血液を固まりにくくして血栓を予防する必要があります。

古くはワーファリン、現在ではDOACと呼ばれる薬を用います。

心房細動についてはこのブログで少しづつ詳しく説明させていただこうと思います。

 

心房細動という不整脈は長嶋茂雄さんが脳梗塞を発症してよく知られるようになりました。

血圧が高いと心房細動発症のリスクが増加しますし、

心房細動の方では血圧が高いほど脳卒中発症のリスクが増加します。

ですので心房細動の方では血圧の管理が極めて重要です。

一般に130/80未満を目標に血圧を調節するのが望ましいと言われています。

心房細動の方では脳梗塞予防のために抗凝固剤を内服することが多いのですが、この薬は脳出血のリスクにもなりますのでなおさら十分な降圧が必要です。

心房細動では脈拍が多いとそれだけで心不全を発症しますので脈拍を減らすベータ遮断薬を処方されることが多いです。

もちろん減塩が重要なことは言うまでもありません。

心肥大は心臓にかかる圧負荷により心臓の壁が厚くなった状態です。

高血圧に心肥大を合併すると心不全や冠動脈疾患あるいは死亡率そのものも上昇することが分かっています。

逆に降圧治療により心肥大が退縮するとこれらのイベントや突然死も減少することが証明されています。

ですので心肥大のある方には高血圧治療が特に重要です。

収縮期血圧130以下の降圧でこれらのイベント発生が抑制されますが、特にARB(アルドステロン受容体拮抗薬)とカルシウム拮抗薬でその効果が顕著です。

健康診断で心肥大を指摘された方は十分な治療が必要です。

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ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬も利尿剤の一種なのですが、他の利尿剤とは働きが違うので別に語られることが多い薬です。

ミネラルコルチコイドはアルドステロンのことで原発性アルドステロン症治療に大して用いられます。

アルドステロンは単に血圧を上げる以外に多くの臓器を直接傷害し、本態性高血圧に比して極めて予後が悪いことから別に扱われ、用いる降圧薬も異なります。

一般に処方されるミネラルコルチコイド受容体拮抗薬にはスピロノラクトン(アルダクトン)やエプレレノン(セララ)があります。

利尿剤なので尿量が増え心臓の負担が減少しますから心不全治療にも用いられます。

代表的な副作用は高カリウム血症ですので腎不全の方には要注意です。

他に、乳房が大きくなり男性でも女性のような乳房になることがあります。

利尿薬はナトリウムを排泄し尿量を増やし体液量を減らすことにより血圧を下げます。

ですから塩分過剰の方、浮腫(むくみ)のある方、慢性腎臓病の方や糖尿病の方に適しています。

利尿薬は既に多くの臨床研究から多くのエビデンスが導き出されており、心臓や腎臓の合併症を予防する効果があります。

特に高齢者で糖尿病を合併した高血圧に適しており心不全の治療効果も期待できます。

一方副作用としてやはり頻尿や脱水がありますが、その他にも尿酸値や血糖の上昇また電解質の異常も見られることがあり注意が必要です。

夏場、汗の多い時期には特に脱水に注意してください。

最近糖尿病の治療薬としてSGLT2阻害薬が処方されますが、この薬にも利尿作用があり降圧効果があることも分かっています。

SGLT2阻害薬は利尿薬には分類されませんが降圧効果や心不全治療薬としても活用されており、また体重を減らす効果もありますので糖尿病以外の方への処方がされるようになってきました。

 

降圧薬のうちβ遮断薬は交感神経の働きを遮断し、心拍数を減少させ心臓の収縮力を低下させるなどの作用がありますので交感神経活性の高い若年者や頻脈傾向の方あるいは大動脈解離の方に積極的に処方されます。

心収縮力抑制作用がありますが、上手く使えば心不全の長期予後を改善しますので心不全治療には欠かせない薬です。また頻脈性不整脈を抑える効果もあり抗不整脈薬としても使用される一方、一部の不整脈を悪化させます。

気管支喘息や肺気腫、徐脈性不整脈、冠攣縮性狭心症、レイノー症状や閉塞性動脈硬化症には禁忌である一方β遮断薬にしかないメリットもあり、言わばもろ刃の剣といった印象がありますので循環器専門医以外の先生からはあまり処方されないようです。