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新型コロナ肺炎が流行してから本当に多くの申請書を公的機関に提出しています。

クリニックで発熱患者さんを診察するのに申請が必要ですし、コロナの検査をするのに申請が必要です。

さらにワクチン接種やスタッフの慰労金に補助金の申請など数えきれないほどの申請書を記入提出しました。

その最後には大抵「反社会的勢力でないことの宣誓」をする書類があり、オンライン申請の場合には「はい」「いいえ」からどちらかを選ばなければなりません。

例えば

「わたしは反社会的勢力の一員ではありません」

という文章に

「はい」

と答えることになります。

ところで、私は2年ほど前から英会話を習っているのですが、英語と日本語では”YES”と”NO”が全く逆になることがあります。

「わたしは反社会的勢力の一員ではありません」は英語で ”I am not a member of antisocial forces” ですが

答えは

「はい、違います」で英語で ”No, I am not”

となります。

つまり日本語で「はい」、英語で “NO” です。

先日、大阪府感染症対策課から電話があり

「先生は反社会的勢力ですか?」

と聞かれました。

初めは何のことを仰っているのか分からなかったのですが、要するに

「わたしは反社会的勢力の一員ではありません」

という宣誓文に私は

「いいえ」

と答えていたそうです。

私の中途半端な英語力が日本語の邪魔をして大きな誤りを犯してしまったという訳です。

電話で

「私は決してその様な反社会的勢力と関わりもなく、極めて善良な市民で運転免許もゴールドです」

とお答えしたところ、電話の向こうで笑いながら

「了解しました、こちらで訂正しておきますね」

と仰って頂きほっとしました。

 

 

新型コロナ肺炎についての情報は毎日のようにテレビやネットを中心に報じられ、また人づてに伝わる噂も多く真偽不明のもっともらしい情報が氾濫しています。

何が正しくて何が間違っていて何が分かっていないのか、ネットをうまく利用すると正確な情報を得ることができます。

間違った知識や情報で損をしたり人に被害を与えたりといったことを防ぐために、情報は正確なものを選ばなければいけないと考えています。

新型コロナウィルス感染症の正確な情報は日本感染症学会のサイトが上手くまとまっていて分かりやすいと思います。

https://www.kansensho.or.jp/modules/topics/index.php?content_id=31#ronbun

とんでもないデマに困っているのは海外でも同じようです。

CDC(疾病予防対策センター)ではいろんなデマの間違いを指摘しています。

https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/advice-for-public/myth-busters

英語ですが平易な文書で書かれていますので辞書を片手に読まれると役に立つと思います。

正しくない情報の拡散をパンデミックならぬインフォデミックと呼ぶんですね。

 

 

 

コロナウィルス感染者が急増しておりデルタ株がその原因と言われています。

デルタ株については「水痘(水ぼうそう)並みの感染力」と表現したCDC(米国疾病予防管理センター)の内部資料が公開されたことから一部では水痘と同じように空気感染するようになったと言う風評があるようです。

デルタ株は昨年末にインドで初めて発見されて今年の7月にアメリカのマサチューセッツ州で470名のクラスターを発生ししかもその多くがワクチン接種者であったことから一気に話題になりました。

まだ十分なデータがない状況では多くの誤った情報が流布し不安をあおります。

現在までにデルタ株で分かっていることは

・従来の株が一人の患者から2.5名に感染させていたのに対し、デルタ株は3.5~4.0名の人に感染させており感染力が強い(もっと多いという報告もあります)

・デルタ株の増殖速度が速くヒトの鼻腔粘膜に感染してから従来株の1.5倍の速度で増殖する

・ワクチン接種者での感染が報告されたものの現在の感染者の多くはワクチン未接種者であり、ワクチン接種者では感染・重症化ともに低率である

ということです。

空気感染するという根拠はないようです。

鼻腔粘膜でのウィルス量が多く感染力が強いので

・ワクチン未接種者はできるだけ早くワクチンを受ける

・ワクチン接種した人もマスクを着用する

事が推奨されます。

このパンデミック下では多くのことが初体験です。

発熱患者さんの受診を制限するなどということは想像すらしたことがありませんでしたし、国民全員に出来るだけ早くワクチンを接種するなどということも初めての経験です。

ワクチンを開発する会社、ワクチンを購入し自治体に供給する政府、ワクチンを分配・配送する自治体にそれを接種する医療機関。

皆が初めての作業を知恵を絞りながらすすめている状況では、予想と違って上手くいかないことの連続だと思います。

クリニックでこれだけ多くの方に予約をおとりした経験も初めてですし、こんなに多くの方の接種を急ピッチで進めていることも初めてです。

ワクチン供給が滞り、せっかく予約頂いた方に予定通り接種できるのか不安になったときは予約いただいた方々から相当厳しいお叱りを受けるものと覚悟しておりました。

しかしながら実際には多くの方々から、医療機関の苦労をお察しいただき暖かい励ましのお言葉を頂戴する日々です。

この危機的な状況にありながら他人に配慮される方々からは大切なことを教えて頂いたと思います。

上手くいかない時にこそ周囲の方の苦労を思いやる余裕の大切さを学びました。

当院では例年ひと冬(10月21日~1月31日)で約500名の方にインフルエンザワクチンを接種していますが、現在は一カ月に約650名のペースで新型コロナワクチン接種を実施しております。

ご不便をおかけすることも多いと思いますが、寛容なお心でお付き合いをお願い致します。

堺中央教会杉貴生牧師様の御計らいでカナダ人宣教師のマイク・ホイヤーさんから英会話を習っています。

バンクーバーに帰国された現在もオンラインでレッスンを受けていますが上達は牛歩の如しです。

英会話上達のコツはミスを恐れずにどんどん喋ることだということでへんてこりんなブロークンイングリッシュを話しますがホイヤーさんはいつも親切にご指導くださり本当に楽しく英会話を学んでいます。

いろんな話題につきディスカッションしますが外国人と日本人の人生観や価値観の違い、あるいは社会に対する認識の違いを実感します。

世界中でボランティア活動に精力的に尽力されている方なのですが、一言でいうと洗練された方です。

社会の中での自分の立場を客観的に理解され、報酬を求めず努力するという日常を送られています。

時として迷いが生じたときに参考になる賢人だと思います。

この出会いに感謝しています。

 

https://hoyers.blogspot.com/

ホイヤーさんのブログです。

世界中でボランティア活動をされた記録が勉強になります。

 

 

自分はコロナワクチンを接種してよいのか、のお問い合わせを多数頂きます。

ワクチンの絶対的な禁忌はこのワクチンの成分に対するアレルギーをお持ちの方です。

特にポリエチレングリコールという成分にアレルギーをお持ちの方は接種できません。

具体的には

・降圧薬の「カンデサルタン」(先発品のブロプレスは含みません)

・降圧薬の「イルアミクス配合錠」(先発品のアイミクスは含みません)

・大腸内視鏡前に用いる腸管洗浄剤「ニフレック」

・関節リウマチや腎疾患に用いる「ミゾリビン」

・塗り薬の「ウレパールローション」「フルコートF」

でアレルギーを経験した方はコロナワクチンは禁忌です。

また、最近発熱した方は解熱してから一カ月以上開けることが推奨されます。

コロナウィルスに感染した方は、感染後数カ月はコロナウィルスに大して強い免疫がありますのでワクチン接種を遅らせることを考慮してもよいとされています。

アトピー性皮膚炎・気管支喘息・蕁麻疹・花粉症・食物アレルギーの方は接種可能ですが接種後30分の経過観察が推奨されています。

他のワクチンを接種した方は2週間以上開けてコロナワクチンを受けて下さい。

コロナワクチン接種後に他のワクチンを接種される場合も2週間以上開けてください。

昨日5月19日より当院でもコロナワクチン接種が始まりました。

私も医療従事者として2度の接種が終わりました。

摂取量が0.3mlと少ないこともあり痛みは殆どありませんでした。

一度目の接種後には全く副作用はなく、二度目の接種翌日に若干の微熱がありましたが解熱剤を服用し横になっていましたら2時間ほどで症状はなくなりました。

その後は何もありません。

コロナ肺炎は死亡率1~2%という恐ろしい病気です。

摂取のメリットはデメリットをはるかに上回ります。

ぜひ接種を受けてください。

勤務医時代ある病院で院内感染対策委員会の委員長を務めたことがあります。

院内感染対策ガイドラインを策定するために10冊ほどの感染症に関する成書を読みました。

それらの多くの本の巻頭に書かれている言葉があります。

『無知は恐れる』

感染対策をするにあたって我々人類が数々の過ちを犯してきましたが近年日本人が犯した有名な過ちがらい病に関するものです。

以下、厚生労働省のHPから転記します。

この病気にかかった者は、仕事ができなくなり、商家の奥座敷や、農家の離れ小屋で、ひっそりと世の中から隠れて暮らしたのです。ある者は家族への迷惑を心配し、放浪の旅に出る、いわゆる「放浪癩」と呼ばれる人がたくさんいました。
明治になり、諸外国から文明国として患者を放置しているとの非難をあびると、政府は1907年(明治40年)、「癩予防に関する件」という法律を制定し、「放浪癩」を療養所に入所させ、一般社会から隔離してしまいました。この法律は患者救済も図ろうとするものでしたが、これによりハンセン病は伝染力が強いという間違った考えが広まり、偏見を大きくしたといわれています。

 1929年 (昭和4年)には、各県が競ってハンセン病患者を見つけだし、強制的に入所させるという「無らい県運動」が全国的に進められました。さらに、1931年(昭和6年)には従来の法律を改正して「癩予防法」を成立させ、強制隔離によるハンセン病絶滅政策という考えのもと、在宅の患者も療養所へ強制的に入所させるようにしました。こうして全国に国立療養所を配置し、全ての患者を入所させる体制が作られました。 こうした政府の対応に対し、ハンセン病研究者の小笠原医師は、ハンセン病は不治の病ではないという考えから、強制隔離や入所者が結婚する条件として行われていた優生手術(避妊手術)などに反対をしましたが、当時の学会などでは彼の主張は認められませんでした。戦後になっても状況は変わらず、1948年(昭和23年)に成立した「優生保護法」では、その対象としてハンセン病が明文化されました。その一方で、入所者たちも、自分たちは犯罪者ではなく病人であり、もうすぐ治るはずだ、このような状況は改善されるべきだと考えていました。そして1951年(昭和26年)、全国国立らい療養所患者協議会(全患協)をつくり、法の改正を政府に要求していきますが、1953年(昭和28年)、患者たちの猛反対を押し切って「らい予防法」が成立しました。この法律の存在が世間のハンセン病に対する偏見や差別をより一層助長したといわれ、患者はもとよりその家族も結婚や就職をこばまれるなど、偏見や差別は一向になくなりませんでした。また、ハンセン病であることを隠して療養所の外で暮らしていた方々も、差別を恐れ、また、適切な医療を受けられないなど大変な苦労をしました。
1996年(平成8年)になってようやく「らい予防法」は廃止されましたが、入所者は、既にみな高齢(平均年齢76.0歳〈平成15年5月〉)となっており、後遺症による重い身体障害を持っている人もいます。また、未だに社会における偏見・差別が残っていることなどもあって、療養所の外で暮らすことに不安があり、安心して退所することができないという人もいます。1998年(平成10年)7月、熊本地裁に「らい予防法」違憲国家賠償請求訴訟が提訴され、翌年には東京、岡山でも訴訟が提訴されました。2001年(平成13年)5月11日、熊本地裁で原告(患者・元患者)が勝訴、政府は控訴をしませんでした。これをきっかけに6月には衆参両院で「ハンセン病問題に関する決議」が採択され、新たに補償を行う法律もできました。国は患者・元患者さんたちに謝罪をし、2002年(平成14年)4月には、療養所退所後の福祉増進を目的として、「国立ハンセン病療養所等退所者給与金事業」を開始、啓発(広く知ってもらう)活動を積極的に行うなど、名誉回復のための対策を進めています。

不勉強で正しい知識を持たない人ほど感情的になり、誤った対処で人を傷つけかねないという反省です。

テレビやインターネットには情報が氾濫していますが、それらの情報は玉石混合で、明らかに誤った情報も多くみられます。

飛沫感染と空気感染の違いを正しく説明できるでしょうか?

何が正しく何が間違っているのかは、まず正しい知識がないと判断ができません。

噂や思い込みを盲信せず、何でも良いですからまず感染症対策に関する本を一冊読んでみると無用な不安は消失し誤ったことをしなくて済むと思います。

 

私は金の聴診器を持っています。

どうやってこの金の聴診器を手に入れたかお聞きください。

 

私が奈良県立医大第一内科に在籍していたもう30年以上前の話です。

当時、附属病院と研究棟は別棟でその間は数十メートル離れていました。

その間を歩いて移動するのですが、途中に小さな池がありました。

ある日その池のほとりを歩いていた時のことです。

不注意にも白衣のポケットに入れていた聴診器を池に落としてしまったのです。

「しまった」と思いながら池の中を覗き込んでいましたら、池の中から白いドレスに身を包んだ女神の様な女性が現れました。

その女性は私に

「あなたの落とした聴診器はこの鉄の聴診器?この銀の聴診器?あるいはこの金の聴診器?」

と尋ねました。

「私が落としたのはアルミの聴診器です」

と答えますと、その女性は一瞬ムッとした面倒くさそうな表情になりましたが、すぐに気を取り直して

「あなたは正直なドクターです。ご褒美にこの金の聴診器を差し上げましょう」

とこの金の聴診器をくれました。

世の中には不思議なことがあるものです。

(2021年4月1日)

 

コロナウィルスパンデミックの影響で多くの学会は会場とオンラインのハイブリッド方式になりました。

専門医などの資格を維持するために学会参加が必要なのですが、従来は実際の会場に行くしか方法がなく、土曜日の診察終了後飛行機で羽田に向かいそのまま東京あるいは横浜で宿泊し、日曜日の朝から学会場で発表や講演を聴講し夕方の飛行機で大阪に戻るといった強行軍が当たり前でした。

しかし昨年はオンラインで聴講し、それで専門医が更新できたので本当に楽でした。

また、地方で製薬会社主導で行われる研究会は多くが中止になっています。

多くの先生は今後もオンライン形式を歓迎しています。

しかし一方それを残念に思う声もあります。

大きな学会特に全国規模の学会や国際学会は勤務医時代は一種のお祭りでした。

学会そのものもさることながら、普段は縁遠い地域や国を訪れついでに観光や地域のグルメを楽しむことが日頃の研究活動に対するささやかなご褒美と考える向きもあったと思います。

大学院の頃は学会は発表の場でした。

実験や準備にかなりの時間を割いて医局での予行演習では上司の厳しいご指導を頂き、それが終われば学会は終わったも同然であとは旅行気分でした。

ビル・ゲイツが指摘したようにこれからは学会などの出張の過半数はなくなるのでしょうね。