心不全の話 4 収縮機能正常の心不全

収縮機能が正常な心不全には、拡張機能障害による心不全以外にも存在します。

脈が速すぎる場合、脈が遅すぎる場合、ホルモンの異常で体液バランスが崩れる場合など決して稀ではありません。

特に脈拍の早い心房細動は要注意です。

心電図中の鋭く高い波はQRS波と呼ばれますが、心室が収縮し血液を送り出す時相です。

このQRSの幅(収縮期)は脈拍によって変化しませんから脈拍が多くなると相対的に拡張期の時相が短くなります。

心房細動では左心房の収縮が無くなり心室に血液を押し込む力が無くなりますので、心室への流入が減ります。

左心室へ血液を押し込む力が失われているうえに、拡張期の時間が短くなると心室に十分の血液が流入しにくくなります。

ですので心房細動では心室の収縮能が正常でも、脈が速くなるとそれだけで心不全を起こしうります。

特に左心室への流入障害のある場合、僧帽弁狭窄症や心室肥大などでは頻脈には要注意です。