高血圧の話 49 蛋白尿

一般的に蛋白尿とは尿中の蛋白が0.15g/日と定義されることが多く、これは一般の試験紙法でも検出可能となり始めるレベルです。

もし糖尿病の患者でこれが認められると「糖尿病性腎症」ということになり、高血圧を合併する方ではアンジオテンシン受容体拮抗薬の絶好の適応となります。

ただし、このレベルの腎症では非可逆的で蛋白尿は陰性化しません(減少はします)。

さらに早期の腎症を検出するには尿中微量アルブミンという検査もあり試験紙法より感度の高い検査です。

尿中微量アルブミン尿のみが検出される時期の腎症でしたらアンジオテンシン受容体拮抗薬により微量アルブミン尿は陰性化する可能性もがあります。

但し、大規模臨床試験では「尿蛋白陰性の糖尿病ではアンジオテンシン受容体拮抗薬は腎不全進展抑制効果はない」とされています。

話がややこしくなりますが、「尿蛋白陽性」という段階ではもちろんアンジオテンシン受容体拮抗薬が推奨されますが、厳密にいうと「微量アルブミン陽性」以上でアンジオテンシン受容体拮抗薬が推奨されるということになります。

つまり尿中微量アルブミン陰性の場合はアンジオテンシン受容体拮抗薬の効果は認められないということになります。

結局のところ、アンジオテンシン受容体拮抗薬が推奨されるのは糸球体障害による腎症に限ると解釈されます。