高血圧の話 60 加速型悪性高血圧
稀なものですが緊急を要する高血圧も存在します。
拡張期血圧が120-130mmHg 以上で放置すると臓器障害が急速に進行するものです。
この状態では悪性腎硬化症と言われる急激な腎機能の低下があり、しれがさらに血圧を上昇させるという悪循環に陥りますので緊急の降圧が必要です。
腎臓以外に眼では網膜出血や乳頭浮腫がみられ脳浮腫を伴えばふらつきなどの症状もあります。
緊急時の診断では網膜病変を用いることが多く海外では
「網膜出血や乳頭浮腫を伴う高血圧」
と呼ばれることもあります。
1970年代は一旦この加速型悪性高血圧を発症すれば5年生存率は32%、すなはち5年以内に3人のうち2人が死亡すると言われていましたが、最近はこの加速型悪性高血圧そのものの頻度が低下し、治療方法の進歩により現在では5年生存率は90%以上です。
但し、発症時の腎機能の低下の程度が予後予測因子で腎機能障害が高度の場合は注意が必要です。