雑談 57 循環器内科と免疫チェックポイント阻害薬

当院では昨年秋から院内で末梢血液一般・生化学検査が実施可能になりました

緊急の場合は血液検査の結果が約10分ほどで分かります

 

京都大学の本庶佑先生がノーベル賞を受賞し有名になった免疫チェックポイント阻害薬も現在では10種類以上が臨床応用されており、私のような循環器内科開業医でも投与中の患者さんにお目にかかる機会は頻繁です

心筋炎、サイトカイン放出症候群、下垂体炎、重症筋無力症、Ⅰ型糖尿病など免疫チェックポイント阻害薬は従来の抗がん剤にはなかった多彩な副作用がみられます

そのうちのいくつかは予後不良で特に心筋炎は症状が非特異的で軽微であるにもかかわらず致死的経過をたどるケースが珍しくありません

免疫チェックポイント阻害薬を投与されている方が発熱や倦怠感を自覚された場合には直ぐに対応できるようにと考えたのが上記の検査機器を導入した理由の一つです

また免疫関連有害事象(免疫チェックポイント阻害薬の副作用)に緊急で対応できるように最大量のステロイドホルモンであるソル・メドロールも在庫しております

 

私が勤務医であった頃は循環器内科はがんとはほとんど無縁の科でした

心臓には実質上がんはありませんし(極めてまれに肉腫という悪性腫瘍はあるのですが)抗がん剤を処方する機会もありません

しかし現在ではがんに対する化学療法は進化し多くの科が連携しないと継続できないものになっています

医学の進歩は診療科の概念も変えるようです