先日、日本人の起源に関する本を読みました。

著者によると日本人は

・氷河期に陸続きだったシベリアなどの北方から渡ってきた北方民族

・大陸から朝鮮半島を渡ってやってきた大陸民族

・黒潮の流れに乗って流れ着いた南方民族

の三つの民族が入り交じり今日の日本人を形成しているそうです。

 

話は変わりますが、理屈抜きにほっとさせてくれる、癒してくれるものってありますよね。

例えば美味しい出汁を飲んだ時には単に旨い不味いを超えた、心を穏やかにさせてくれるものってあると思います。

私は昆布だしを飲んだ時にほっと溜息が出て心が穏やかになります。

かつおだしやそのほかの出汁ではそうはいきませんし、欧風のフォンなどでもそんな効果はありません。

これは自分の遺伝子の中に組み込まれた昆布だしに対する記憶が残っているからではないのかと思います。

他に、薪がパチパチと燃える音や炎を見ていると何時間でもそのまま過ごせるような安心感があります。

以前、俳優の渡哲也さんが休日には一人で薪をしてその炎を眺めて一日を過ごすとお聞きしたことがあります。

あるいはプロレスラーのジャイアント馬場さんは休暇にはハワイの別荘で海岸で一日波だけを眺めて過ごしたそうです。

薪の炎や海岸の波あるいは小川のせせらぎの音は人間の心を癒す効果があるように思いますが、私は特に薪の音と炎に安心感を感じます。

そう考えると昆布だしと薪に癒しを感じる私には北方民族の遺伝子が多く残っているのかなと考えたりもします。

そういえば回転ずしに行くとサンマやイワシにまず手が伸びて、ししゃもやホッケも大好きです。

自分を癒してくれるものは何かを考えながら自分のルーツを探るのも楽しい暇つぶしですね。

 

そんなことを考えていると一つどうしても理解できないことがあります。

仕事柄多くの方の心音を聴診しますが、大動脈弁狭窄症の方の心雑音を聴くとそのまま何時間でも聴いていられるような癒される気持ちになります。

これがなぜかずっと考えているのですがどうしても説明がつきません。

不思議です。

 

 

洞不全症候群、房室ブロックや心房細動などで徐脈になりそれに伴う症状、例えばめまい・失神・眼前暗黒感や倦怠感がある場合はペースメーカを植え込む手術が推奨されます。

マッチ箱程度の小さな機械を左胸皮下に留置し、その機械から心室あるいは心房に置いた電極に電流を流し心臓を刺激・収縮させる治療法です。

手術手技自体は難しいものではなく、傷も小さなものですがバッテリーの寿命があり定期的に本体を交換する必要があります。

最近では心室に留置するリードレスペースメーカもあります。

この機械を留置した方は電磁波の干渉すなはち携帯電話や電子レンジなどの機器に注意が必要です。

ちなみに正確な医学用語は『ペースメーカー』ではなく『ペースメーカ』です。

 

脳梗塞や冠動脈疾患あるいは心房細動のため抗血小板薬や抗凝固薬を内服される方が増えています。

これらの薬剤は血管が閉塞するのを予防するのですが主な副作用は出血、特に脳出血です。

高血圧は抗血小板薬や抗凝固薬内服中の方が脳出血を発症する危険因子であることが分かっていますので、これらの薬を内服中の方は特に血圧の治療が重要です。

大規模臨床研究ではこれらの薬を内服中の場合、血圧を8.9/4.0低下させると頭蓋内出血の発症が46%減少しています。

現在のガイドラインでは抗血小板薬や抗凝固薬を内服中の場合には血圧を130/80未満にコントロールすることが推奨されています。

 

血圧の受診間変動とは、外来受診時に診察室で記録する血圧の変動のことで、受診間変動が多いいというのは受診するたびに血圧が大きく違うことを意味します。

例えば前回の受診時に診察室で測定した収縮期血圧が120であり、次回の時が140であった場合には受診間変動は20ということになります。

若年期の受診間変動は中年期の海馬容積(アルツハイマー病は海馬の萎縮です)に関連しますし、高齢者の受診間変動は認知症発症の予測因子であることが分かっています。

降圧剤の中でもカルシウム拮抗薬とアンジオテンシン受容体拮抗薬の2種がこの受診間変動を小さくするという報告があります。

 

クリニックにご縁のある方のご家族がケーキ屋さんをオープンされました。

深井駅近くのエッフェルと言うお店です。

オーダー専門のケーキ屋さんで見た目もきれいな楽しいケーキです。

味は甘さがとても上品なのどの乾かないようなさわやかな美味しさでした。

スムージーも販売されておられ黒ゴマのスムージーはここでしか味わえない絶対リピートする美味しさです。

https://tabelog.com/osaka/A2705/A270501/27128427/

 

ご家庭で血圧測定を続けておられる人はお気づきかもしれませんが一般に冬には血圧は上昇します。

もちろん気温が低下し血管が収縮することも要因の一つと推定されていますが、気温の低下する時期と血圧が上昇する時期は必ずしも一致しません。

一年で最も血圧が上昇するのは最も気温が低くなる時期の2~3週間前です。

単純な気温の変化以外にも日照時間や活動性、ホルモンの年周期との関連も推定されています。

高変動群(冬場の血圧上昇が大きい人)や逆転群(冬場にむしろ血圧が低下する人)では脳心血管疾患の発症が多く、季節変動を先取りした血圧の調節が有用であると考えられます。

 

高血圧患者では脳卒中や心臓病・腎臓病の発症が多いのはご存じの通りですが、自覚症状としては現れていなくても検査をすることによって既に高血圧性の臓器障害があることがわかる場合があります。

①脳:高血圧は脳卒中のリスク因子であるばかりでなく、認知症・うつ病のリスクにもなります。

これらはいずれも発症してしまってからでは回復が困難な場合が多く、頭部MRIや眼底検査で早期の臓器障害を検出することが可能です

②心臓:高血圧による心臓への負荷や心筋虚血には心電図・心臓超音波検査が有用です。

③腎臓:高血圧による腎臓への障害を調べるにはまず検尿をします。

④血管:動脈の硬化性病変には頸動脈や下肢動脈の超音波検査が有用です。

もしこれらの検査で臓器障害が検出された場合には速やかな高血圧の治療が必要です。

 

私が小学生の頃は金曜日の夜8時には家族全員でテレビの前でプロレスを観戦するというのが日本のありふれた光景だったように思います。

今では他の格闘技に押されテレビ放映も見かけなくなりましたが、あれほど国民を熱狂させたイベントも少なかったのではないでしょうか?

プロレスラーは鍛えた自分の肉体で相手の技を受け、相手を光らせるのが仕事です。

他の格闘技のように相手のパンチやキックを避けていたら試合にならない、そんなスポーツです。

『相手に花を持たせてなんぼ』は分かる人には分かるけど、分からない人には分からないでしょうね。

以前ある雑誌のインタビューで前田日明さんが

『私も長州力も藤波辰爾さんの作品です』

と語るのを聞きました。

この言葉にグッとくるのはきっと良い人です。

 

 

カリウムはナトリウムの血圧上昇作用を阻害し適度なカリウム補給だけで収縮期血圧が4~5低下するとされています。

また脳卒中の発生は3,500mg/日のカリウム摂取で最小となります。

現在の日本人の平均カリウム摂取量は2,400mg/日ですからほとんどの人がさらにカリウム摂取を推奨されるということになります。

カリウムは生野菜や果物に多く含まれます。

おやつに塩分や糖分を多く含むスナック菓子を食べることを止めて果物を食べることが良いのでしょうね。

 

 

コロナウィルス・パンデミック以降頻繁にPCRという言葉を聞くようになったと思います。

しかしこのPCRという言葉が独り歩きをして誤解をされている例も多いように思います。

PCRは polimerase chain reaction の略で2本鎖DNAを何倍にも増やす技術です。

ご存じのように生物の設計図である遺伝子は多くの場合DNA(デオキシリボ核酸)です。

DNAはA(アデニン)・T(チミン)・G(グアニン)・C(シトシン)の4種類の塩基が順番に並んで構成されています。

例えばATTCGTCAACTTGCT・・・といった具合に並んだ塩基配列が人間を含む生物の設計図(遺伝子)です。

そしてDNAは二重(らせん)構造といって、同様の内容を持つ塩基配列が二本一対になっています。

実はこのDNAは高熱になると一本鎖ずつに離れ、温度が下がると二本鎖に戻る性質があります。

PCRは、まず試験管の中のDNAを熱して一本鎖ずつに離します。

そして冷やす際にプライマーと呼ばれるDNAの端の部分を加えておくと、まず一本鎖のDNAの端にそのプライマーが結合します。

さらに試験管内にDNAポリメラーゼという、塩基を並べて結合させDNAを作る酵素とそれに加えて十分の塩基を入れておくと、プライマーの次にDNAポリメラーゼが元の一本鎖DNAの配列に合う塩基を次々と並べてゆき一本鎖DNAから二本鎖DNAを作り出します。

すなはち二本鎖DNAが2倍に増えるというわけです。

これを2回繰り返すとDNAは4倍になり3回繰り返すと8倍になります。

当院で採用している島津製作所のAuto Ampはこの温度の上げ下げ(サーマルサイクル)を約34回実施しますので2の34乗倍すなはち約170億倍にウィルスを増幅することになります。

しかし、実は現在のPCRの多くはウィルスそのものを増幅させる訳ではありません。

実際にはウィルスの一部、約16塩基対の部分を二か所増幅し検出します。

16塩基対と言っても塩基はATGCの4種類ですから4の16乗すなはち約43億通りの塩基配列がありそれを二か所検出しますので生物を特定するには十分の情報量です。

そもそも、院内でウィルスそのものを増幅していたら危険極まりありません。

当院でPCRを実施して二か所の塩基対のうち一か所だけが検出されることがあります。

これは、ウィルスの残骸分かりやすく言えば死んだウィルスを検出していると考えられます。

環境中の、例えばテーブルを拭いた布からPCRでコロナウィルスが検出された、という記事を見かけますが、これは必ずしも感染性のある生きたウィルスを意味しません。

多くの場合死菌です。

咳のしぶきの中のウィルスは床に落ちるとそんなに長時間は生きられないことが分かっています。

新型コロナウィルスに感染し症状が消失する10日目ごろにPCRをすると死菌を増殖して陽性と判定されることがよく見られます。

PCRは感染性のない死んだウィルスでも検出するのです。

ですので、PCR陽性イコール感染性を意味するものではありません。

PCRが万能であるという概念は誤解です。

 

WHOのホームページを読むと新型コロナウィルスに対する知見も経時的に少しずつ変化しています。

当初盛んに言われていた接触感染は最新の記述では否定的のようです。

すはなち、アルコール消毒や手洗いなどはそれほど必要ではないのかもしれません。

一方飛沫感染に加えてエアロゾルという記述がみられるようになりました。

従来の飛沫感染よりももう少し長時間空気中にウィルスがとどまる可能性が示唆されています。

新型コロナウィルスに対する知見が集積されるにつれて従来の概念が間違っていたことが判明する場合もあります。

最新の情報はテレビや雑誌によらず、WHOや国立感染症研究所のHPから得るのが良いと思います。