心房細動という不整脈は長嶋茂雄さんが脳梗塞を発症してよく知られるようになりました。

血圧が高いと心房細動発症のリスクが増加しますし、

心房細動の方では血圧が高いほど脳卒中発症のリスクが増加します。

ですので心房細動の方では血圧の管理が極めて重要です。

一般に130/80未満を目標に血圧を調節するのが望ましいと言われています。

心房細動の方では脳梗塞予防のために抗凝固剤を内服することが多いのですが、この薬は脳出血のリスクにもなりますのでなおさら十分な降圧が必要です。

心房細動では脈拍が多いとそれだけで心不全を発症しますので脈拍を減らすベータ遮断薬を処方されることが多いです。

もちろん減塩が重要なことは言うまでもありません。

堺中央教会杉貴生牧師様の御計らいでカナダ人宣教師のマイク・ホイヤーさんから英会話を習っています。

バンクーバーに帰国された現在もオンラインでレッスンを受けていますが上達は牛歩の如しです。

英会話上達のコツはミスを恐れずにどんどん喋ることだということでへんてこりんなブロークンイングリッシュを話しますがホイヤーさんはいつも親切にご指導くださり本当に楽しく英会話を学んでいます。

いろんな話題につきディスカッションしますが外国人と日本人の人生観や価値観の違い、あるいは社会に対する認識の違いを実感します。

世界中でボランティア活動に精力的に尽力されている方なのですが、一言でいうと洗練された方です。

社会の中での自分の立場を客観的に理解され、報酬を求めず努力するという日常を送られています。

時として迷いが生じたときに参考になる賢人だと思います。

この出会いに感謝しています。

 

https://hoyers.blogspot.com/

ホイヤーさんのブログです。

世界中でボランティア活動をされた記録が勉強になります。

 

 

心肥大は心臓にかかる圧負荷により心臓の壁が厚くなった状態です。

高血圧に心肥大を合併すると心不全や冠動脈疾患あるいは死亡率そのものも上昇することが分かっています。

逆に降圧治療により心肥大が退縮するとこれらのイベントや突然死も減少することが証明されています。

ですので心肥大のある方には高血圧治療が特に重要です。

収縮期血圧130以下の降圧でこれらのイベント発生が抑制されますが、特にARB(アルドステロン受容体拮抗薬)とカルシウム拮抗薬でその効果が顕著です。

健康診断で心肥大を指摘された方は十分な治療が必要です。

green leaf

高血圧を放置すると多くの臓器に障害がでます。

脳卒中や心臓病、認知症などが代表的なものですがなかでも腎臓は血圧の影響を受けやすい臓器です。

腎臓は一言でいえば血液を糸球体というざるで濾して尿を作る臓器です。

ですので腎機能の低下すなはち腎不全は血液から不要な老廃物や余分な水分を取り除くことができなくなる病気です。

高血圧による腎臓の障害の代表は腎硬化症ですが、大きく分けて2種類があります。

一つは血液をろ過する糸球体の硬化で、分かりやすく言えば糸球体というざるの目がつまってくる状態で糸球体の障害を示唆する蛋白尿がみられるようになります。

この場合、高血圧により糸球体に過剰な負荷がかかりざるの目がつまってくるので、糸球体に対する過剰な負荷を抑えるために糸球体のろ過を抑える作用のあるARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)やACEI(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)を用います。

もう一つは糸球体の手前の細動脈の硬化です。

腎臓という臓器の特殊なところは大動脈から数センチしか離れていないにも関わらずすぐに細かい血管に枝分かれするという点で、1~2mmの細い血管に大動脈と大差のない高い圧力がかかることです。

この動脈をストレイン・ベッセルと呼びますがこの血管に動脈硬化がおこるとやはり腎機能の低下が生じます。この場合は糸球体の障害はないので蛋白尿はみられません。

こういう状態でARBやACEIを投与数すると逆効果で腎機能障害が進行してしまいます。

高血圧による腎臓の障害がみられた場合にはどういうタイプの障害なのかを見極めて治療することが必要です。

 

自分はコロナワクチンを接種してよいのか、のお問い合わせを多数頂きます。

ワクチンの絶対的な禁忌はこのワクチンの成分に対するアレルギーをお持ちの方です。

特にポリエチレングリコールという成分にアレルギーをお持ちの方は接種できません。

具体的には

・降圧薬の「カンデサルタン」(先発品のブロプレスは含みません)

・降圧薬の「イルアミクス配合錠」(先発品のアイミクスは含みません)

・大腸内視鏡前に用いる腸管洗浄剤「ニフレック」

・関節リウマチや腎疾患に用いる「ミゾリビン」

・塗り薬の「ウレパールローション」「フルコートF」

でアレルギーを経験した方はコロナワクチンは禁忌です。

また、最近発熱した方は解熱してから一カ月以上開けることが推奨されます。

コロナウィルスに感染した方は、感染後数カ月はコロナウィルスに大して強い免疫がありますのでワクチン接種を遅らせることを考慮してもよいとされています。

アトピー性皮膚炎・気管支喘息・蕁麻疹・花粉症・食物アレルギーの方は接種可能ですが接種後30分の経過観察が推奨されています。

他のワクチンを接種した方は2週間以上開けてコロナワクチンを受けて下さい。

コロナワクチン接種後に他のワクチンを接種される場合も2週間以上開けてください。

昨日5月19日より当院でもコロナワクチン接種が始まりました。

私も医療従事者として2度の接種が終わりました。

摂取量が0.3mlと少ないこともあり痛みは殆どありませんでした。

一度目の接種後には全く副作用はなく、二度目の接種翌日に若干の微熱がありましたが解熱剤を服用し横になっていましたら2時間ほどで症状はなくなりました。

その後は何もありません。

コロナ肺炎は死亡率1~2%という恐ろしい病気です。

摂取のメリットはデメリットをはるかに上回ります。

ぜひ接種を受けてください。

勤務医時代ある病院で院内感染対策委員会の委員長を務めたことがあります。

院内感染対策ガイドラインを策定するために10冊ほどの感染症に関する成書を読みました。

それらの多くの本の巻頭に書かれている言葉があります。

『無知は恐れる』

感染対策をするにあたって我々人類が数々の過ちを犯してきましたが近年日本人が犯した有名な過ちがらい病に関するものです。

以下、厚生労働省のHPから転記します。

この病気にかかった者は、仕事ができなくなり、商家の奥座敷や、農家の離れ小屋で、ひっそりと世の中から隠れて暮らしたのです。ある者は家族への迷惑を心配し、放浪の旅に出る、いわゆる「放浪癩」と呼ばれる人がたくさんいました。
明治になり、諸外国から文明国として患者を放置しているとの非難をあびると、政府は1907年(明治40年)、「癩予防に関する件」という法律を制定し、「放浪癩」を療養所に入所させ、一般社会から隔離してしまいました。この法律は患者救済も図ろうとするものでしたが、これによりハンセン病は伝染力が強いという間違った考えが広まり、偏見を大きくしたといわれています。

 1929年 (昭和4年)には、各県が競ってハンセン病患者を見つけだし、強制的に入所させるという「無らい県運動」が全国的に進められました。さらに、1931年(昭和6年)には従来の法律を改正して「癩予防法」を成立させ、強制隔離によるハンセン病絶滅政策という考えのもと、在宅の患者も療養所へ強制的に入所させるようにしました。こうして全国に国立療養所を配置し、全ての患者を入所させる体制が作られました。 こうした政府の対応に対し、ハンセン病研究者の小笠原医師は、ハンセン病は不治の病ではないという考えから、強制隔離や入所者が結婚する条件として行われていた優生手術(避妊手術)などに反対をしましたが、当時の学会などでは彼の主張は認められませんでした。戦後になっても状況は変わらず、1948年(昭和23年)に成立した「優生保護法」では、その対象としてハンセン病が明文化されました。その一方で、入所者たちも、自分たちは犯罪者ではなく病人であり、もうすぐ治るはずだ、このような状況は改善されるべきだと考えていました。そして1951年(昭和26年)、全国国立らい療養所患者協議会(全患協)をつくり、法の改正を政府に要求していきますが、1953年(昭和28年)、患者たちの猛反対を押し切って「らい予防法」が成立しました。この法律の存在が世間のハンセン病に対する偏見や差別をより一層助長したといわれ、患者はもとよりその家族も結婚や就職をこばまれるなど、偏見や差別は一向になくなりませんでした。また、ハンセン病であることを隠して療養所の外で暮らしていた方々も、差別を恐れ、また、適切な医療を受けられないなど大変な苦労をしました。
1996年(平成8年)になってようやく「らい予防法」は廃止されましたが、入所者は、既にみな高齢(平均年齢76.0歳〈平成15年5月〉)となっており、後遺症による重い身体障害を持っている人もいます。また、未だに社会における偏見・差別が残っていることなどもあって、療養所の外で暮らすことに不安があり、安心して退所することができないという人もいます。1998年(平成10年)7月、熊本地裁に「らい予防法」違憲国家賠償請求訴訟が提訴され、翌年には東京、岡山でも訴訟が提訴されました。2001年(平成13年)5月11日、熊本地裁で原告(患者・元患者)が勝訴、政府は控訴をしませんでした。これをきっかけに6月には衆参両院で「ハンセン病問題に関する決議」が採択され、新たに補償を行う法律もできました。国は患者・元患者さんたちに謝罪をし、2002年(平成14年)4月には、療養所退所後の福祉増進を目的として、「国立ハンセン病療養所等退所者給与金事業」を開始、啓発(広く知ってもらう)活動を積極的に行うなど、名誉回復のための対策を進めています。

不勉強で正しい知識を持たない人ほど感情的になり、誤った対処で人を傷つけかねないという反省です。

テレビやインターネットには情報が氾濫していますが、それらの情報は玉石混合で、明らかに誤った情報も多くみられます。

飛沫感染と空気感染の違いを正しく説明できるでしょうか?

何が正しく何が間違っているのかは、まず正しい知識がないと判断ができません。

噂や思い込みを盲信せず、何でも良いですからまず感染症対策に関する本を一冊読んでみると無用な不安は消失し誤ったことをしなくて済むと思います。

 

4月20日から高齢者向け新型コロナワクチン券の発送が開始しました。

https://www.city.sakai.lg.jp/kenko/kenko/kansensho/kansensho/corona/wakuchin/yoyaku_houhou.html

 

当院での接種予約は

75歳以上の方は5月10日~

65歳以上74歳以下の方は5月17日~

開始します。

予約の方法につきましては現在検討中で決まり次第当サイトでお知らせいたします。

中枢性交感神経抑制薬は、降圧作用がすぐに実感できるほど顕著で副作用も少ない降圧剤が多数発売されている今日では出番の少なくなった薬剤です。

薬剤としてはメチルドパ・クロニジン・グアナベンズがあります。

メチルドパは妊娠中にも安全に投与できるので主に妊娠中の高血圧に対して処方されます。

クロニジン・グアナベンズはα遮断薬と同様早朝高血圧に効果的とされていますが、倦怠感や立ちくらみなどの副作用が見られることがあり最近はあまり処方されなくなりました。

交感神経にはα(アルファ)受容体とβ(ベータ)受容体がありその両方ともが降圧剤として臨床応用されています。

α遮断薬は主に血管平滑筋の収縮を抑え、すなはち血管を拡張させ血圧を下げます。

ですのでどうしても立ちくらみといった起立性低血圧の副作用が散見されます。

一過性の副作用で大事に至ることは殆どありませんが、服薬開始時には注意が必要です。

他に降圧効果の強い製品が多く市販されていますので出番は少なくなってきていますが、前立腺肥大による排尿障害を抑制しますので前立腺肥大を併発されている方にはうってつけの薬です。

その他に早朝高血圧の方にも好んで投与されます