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意外に思われるかもしれませんが、高血圧の基準は国によって違います。

アメリカでの高血圧の基準は診察室での血圧が、上(収縮期血圧)が130以上または下(拡張期血圧)が80以上の場合です。

一方日本の基準は診察室での血圧が上が140以上または下が90以上ですから、アメリカよりは若干緩やかな基準です。

家庭で測定した場合はそれぞれ5を引き、上が135以上または下が85以上です。

高血圧を治療するのは放置すると脳卒中などを発症するからなのですが、140以下であればそのリスクは全くないのかというとそうではなくて120を超えるとリスクは段階的に増加します。すなはち、120の人より130の人は脳卒中のリスクは高く、130の人より140の人の方は脳卒中のリスクは高いということになります。

ですので、120/80以下を正常血圧と呼び理想的な血圧と考えています。家庭で測定した場合は115/75です。

アメリカと日本で高血圧の基準が違うのは、脳卒中などの予防に対する介入意欲の差と言えます。

家庭で測定した血圧が110であった場合、決して下がり過ぎではありませんので安心してください。

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『高血圧って貧血の逆ですか?』

とよく質問を受けます。

貧血は血液の赤血球の濃度で、どれだけ血が濃いかを示します。

一方血圧とは血管の中の血液の圧力です。

風船に例えるとしぼんだ風船は圧力(血圧)が低く、パンパンに張った風船は高血圧ということになります。

圧力が高くなりすぎると血管が破れて脳出血になります。

また、風船と違って人間の血管は生きていますから圧力に対抗して血管の壁の強度を増そうと血管壁の肥厚が起こります。

少し難しい話になりますが、

血管の壁にかかる張力をT

血管の太さをR

血圧をP とすると、

T=P×R という計算式が成り立ちます。

すなわち血管系が小さいほど血管壁にかかる張力は小さくなりますから、生体の反応として血管壁の肥厚は内腔を小さくするような肥厚が起こります。

これを求心性肥厚といいます。

つまり血圧が高いとそれだけで血管の中は狭くなっていき、血管が詰まって梗塞をおこすということになります。

高血圧は殆どの場合無症状で健診などの偶然の機会に発見されますが、症状がないからと言って放置すると大変なことになりますから血圧の異常を指摘されたら専門医を受診し相談して下さい。

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このブログでは高血圧やコレステロールなどの当院で治療することの特に多い疾患を取り上げ紹介したいと思います。

まずは高血圧についてご紹介したいのですが、一口に高血圧といっても種々の疾患を含み治療法もさまざまで、血圧が140を超えたから薬を飲んでおけばいいや、などと軽く考えると大きなしっぺ返しを食らうことになります。

高血圧は頻度の高い言わばありふれた病気です。

高血圧の多くは健診などの機会に偶然発見されることが多く自覚症状がないケースがほとんどなのですが、放置すれば様々な合併症を発症します。

主なものでは脳卒中(脳梗塞・脳出血)、冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)、慢性腎不全、認知症でいずれも人生を大きく左右するものばかりです。

そしてそれらは治療をすることで発症を未然に防ぐことができます。

収縮期血圧10mmHg または拡張期血圧5mmHgの低下により脳卒中のリスクは41%低下し、冠動脈疾患のリスクは22%低下します。

何かの機会に高血圧を指摘されたら放置せずにぜひ専門医にご相談ください。

単に薬を処方してもらうといったことではなく、人生に大きく影響するような内容のあるお話をお聞きできると思います。

 

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