不整脈の話 12 心房細動 5
心房細動の治療には大きく分けてリズムコントロールとレートコントロールがあります。
心房細動そのものを停止させて規則正しい脈にするリズムコントロールはわかりやすいと思うのですが、どうして心拍数をコントロールして頻脈にならないようにすることが心房細動の治療になるのでしょうか?
心臓から全身に血液を送り出す最も大きなかつ最も重要なポンプは左心室です。
左心房から左心室に送り込まれた血液は左心室の収縮により全身に送り出されるのですが、その左心室に血液を送り込むポンプが左心房です。
そして左心房から左心室に血液が送り込まれる時相が拡張期です。
例えば脈拍が60/分の時は一回の心拍は1秒ですが、120/分になると一回の心拍は0.5秒となり拡張期の時間が短くなります。
心房細動によって心房の収縮が無くなり左心房から左心室へ血液を送り込む力が減っているときに拡張期が短くなり左心室に十分な血液が流入しなくなると結果的に左心室から送り出される血液が減少し心不全を起こすことになります。
ですので心房細動は頻脈を伴うとそれだけで心不全になります。
ですから心房細動の場合は頻脈にならないように心拍数をコントロールすることが大切なのです。