高血圧の話 40 高血圧と遺伝子
ほとんどの高血圧は「原因のない」本態性高血圧と言われますが、実際には複数の遺伝因子と生活環境が関与する多因子疾患です。
遺伝子要因は、それを持っている人は持っていない人に比べて高血圧の発生が高いのですが単純に血圧を上昇させるというより食塩感受性を亢進させる影響が大きいと言われています。
個々の遺伝子を操作することはできませんが、その遺伝子を持っていても塩分制限などの生活習慣の改善で高血圧の発症を防ぐことは可能です。
言い換えるとどんなにたくさん塩分を摂取しても血圧の上昇しない体質は獲得できませんが、塩分摂取量を制限することで血圧を下げることは可能です。
一方稀な遺伝子変異により引き起こされる特殊な高血圧も存在しますが実際には極めてまれです。
リドル症候群・ゴードン症候群・ミネラルコルチコイド過剰症候群・家族性アルドステロン症・11β水酸化酵素欠損症などです。
これらは高血圧以外に電解質異常や男性化などの特徴的な症状があります。
本態性高血圧の場合には体質を変えることは困難ですが、塩分摂取制限などの生活習慣改善は可能です。