高血圧の話 52 切迫症
血圧の高度の上昇によって高血圧性脳症などの臓器障害が進行する場合は高血圧緊急症と呼び入院の上緊急降圧の対象となりますが、単に血圧が上昇しているのみで臓器障害のない場合は切迫症と呼びます。
切迫症は緊急降圧によって予後が改善するというエビデンスはなく、緊急降圧の対象とはなりません。
急な血圧上昇は寒暖差・精神的ストレス・不眠などでおこりますが原因が取り除かれると、例えば暖かい部屋でリラックスし十分な睡眠をとることで低下します。
ですので慌てて降圧剤を追加内服すると、原因が取り除かれて血圧が安定するころに降圧剤の効果が表れて過降圧をきたしかえって臓器障害を引き起こす可能性があります。
現在血圧を下げる薬ー降圧剤はたくさんありますが、血圧の変動を抑える薬はありません。
あえて言うなら精神安定剤や睡眠薬でしょうか?
血圧の日内変動や日間変動が臓器障害を悪化させるというエビデンスは存在しますが、その変動を抑える薬はありません。
個人的にはそういった薬の開発を望んでいるのですが、まだ開発されていないのが現状です。