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利尿薬はナトリウムを排泄し尿量を増やし体液量を減らすことにより血圧を下げます。

ですから塩分過剰の方、浮腫(むくみ)のある方、慢性腎臓病の方や糖尿病の方に適しています。

利尿薬は既に多くの臨床研究から多くのエビデンスが導き出されており、心臓や腎臓の合併症を予防する効果があります。

特に高齢者で糖尿病を合併した高血圧に適しており心不全の治療効果も期待できます。

一方副作用としてやはり頻尿や脱水がありますが、その他にも尿酸値や血糖の上昇また電解質の異常も見られることがあり注意が必要です。

夏場、汗の多い時期には特に脱水に注意してください。

最近糖尿病の治療薬としてSGLT2阻害薬が処方されますが、この薬にも利尿作用があり降圧効果があることも分かっています。

SGLT2阻害薬は利尿薬には分類されませんが降圧効果や心不全治療薬としても活用されており、また体重を減らす効果もありますので糖尿病以外の方への処方がされるようになってきました。

 

降圧薬のうちβ遮断薬は交感神経の働きを遮断し、心拍数を減少させ心臓の収縮力を低下させるなどの作用がありますので交感神経活性の高い若年者や頻脈傾向の方あるいは大動脈解離の方に積極的に処方されます。

心収縮力抑制作用がありますが、上手く使えば心不全の長期予後を改善しますので心不全治療には欠かせない薬です。また頻脈性不整脈を抑える効果もあり抗不整脈薬としても使用される一方、一部の不整脈を悪化させます。

気管支喘息や肺気腫、徐脈性不整脈、冠攣縮性狭心症、レイノー症状や閉塞性動脈硬化症には禁忌である一方β遮断薬にしかないメリットもあり、言わばもろ刃の剣といった印象がありますので循環器専門医以外の先生からはあまり処方されないようです。

 

 

 

ARBと略されるこの降圧薬の正式な名前はアンジオテンシンⅡタイプ1受容体拮抗薬です。

降圧作用が強力で多くの臓器保護作用が証明されていますが副作用は少なくカルシウム拮抗薬に次いで処方されています。

腎臓・心臓・脳の臓器障害のある場合や糖尿病を合併した例で汎用されます。

特に腎臓の機能が悪化するのを防ぐ効果もあるのですが、使い方を間違うと逆効果になります。

カンデサルタン(ブロプレス)・ロサルタン(ニューロタン)・バルサルタン(ディオバン)・テルミサルタン(ミカルディス)が代表的な処方薬です。

副作用が少なく他の降圧薬、特に利尿薬と併用されることが多いのもこの薬の特徴です。

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現在日本で最も処方されている降圧薬がカルシウム拮抗薬です。

代表的な薬品はアムロジピン(アムロジン・ノルバスク)、ニフェジピン(アダラート)、ベニジピン(コニール)などです。

降圧効果は強く飲み始めてすぐに十分な血圧低下が得られることが多い一方副作用も少ないので汎用されます。

歴史の長い薬で多くの臨床研究によって臓器保護などのいろんな好ましい効果は実証済みで、また安価であることも多く処方される理由の一つでしょう。

血管拡張作用が強く多くの臓器の血流を増加させますので狭心症の治療薬として用いられることもありますが、その反面頭部の血管も拡張しますのでのぼせやほてりあるいは頭痛といった副作用も見らるることがあります。この副作用は服薬初期に多く飲み続けると消失することが多いので耐え難いものでなければ中止する必要はないと思います。

また心筋細胞のイオンの流れをブロックし不整脈を抑える抗不整脈薬として使用されることもあります。

その他に歯肉腫脹・便秘や動悸がある場合もありますので気づいた場合には主治医に申し出てください。

グレープフルーツと一緒に摂取すると効果が増強される製品がありますので注意が必要です。

また意外に見過ごされがちなのが逆流性食道炎の悪化です。カルシウム拮抗薬を飲み始めて胸焼けがひどくなったという場合はくすりの副作用を疑う必要があります。

 

cloud

 

減塩や体重の管理あるいは生活環境の改善などで血圧が十分に下がらない場合には降圧薬を内服することになります。

降圧薬には

カルシウム拮抗薬

アンジオテンシン受容体拮抗薬

アンジオテンシン変換酵素阻害薬

ベータ遮断薬

アルファ遮断薬

利尿薬

直接的レニン阻害薬

中枢性交感神経阻害薬

など多くの選択肢があります。

それぞれに長所と短所があり、自分に合った薬を選択することになります。

既に降圧薬を服用されている方で、自分はどの降圧薬を内服しているのかご存じですか?

自分はどういう理由でその薬を内服しているのか主治医の先生に尋ねてみると高血圧に対する理解が深まると思います。

次回から上記の降圧薬を一つずつ説明させて頂きたいと思います。

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この数日本当に寒い日が続きました。

そして血圧が上昇傾向の方も多いようです。

一般に寒い日は血圧が上昇します。

その他睡眠不足、便秘や精神的ストレスなど交感神経が緊張する状況では血圧を上昇させるホルモンが分泌されます。

一昔前の東北地方では冬の寒い朝にトイレで脳出血で倒れる方が多くおられました。

寒いトイレで怒責され一過性に血圧が上昇し脳の血管が破れるということが起こっていたわけです。

家庭に暖房が普及した現在でもトイレまで暖房設備を設置されている家屋は稀だと思います。

冬のトイレは血圧の盲点かもしれません。

寒いトイレを防ぐためにご自宅では冬の間はトイレのドアは開けっ放しにして頂くのが良いと思います。

 

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診察室で測る血圧と同様にあるいはそれ以上に重要な意味を持つのが家庭血圧です。

家庭で血圧を測定する際の注意点は

  • 指や手首で測定するものを避け上腕で測定する血圧計を用いる
  • 出来るだけリラックスした状況で測定する
  • 服の上からは測定しない

ことなどです。

複数回測りその全てを記録することや、二回測定結果の平均値を記録するなど様々な推奨がありますが、基本的には一度でも構わないと思います。

診察室で測定すると高いのに家庭では正常という場合は白衣高血圧と呼ばれ高血圧としての病的意義は薄いのですが、逆に診察室で測定しても高くないのに家庭で測定すると高血圧という場合は仮面高血圧と呼ばれ一般の高血圧と同様かあるいはそれ以上に危険だとされています。

実は家庭血圧は診察室での血圧よりも正確な予後予測因子であることが分かっており、当院ではできる限り多くの方に家庭血圧測定をお勧めしております。

家庭血圧を記録するための血圧手帳を用意しておりますのでご入用の方はスタッフにお申し付けください。

 

komoike

血圧は測る度に違う値が出る、とよく言われます。

血圧は心臓というポンプから送り出される血液の圧力で図のように脈圧があります。

例えばこの収縮期130、拡張期80という血圧のグラフを見てみましょう。

腕に巻き付けたマンシェットというゴムの袋を膨らませ動脈を圧迫します。

徐々にマンシェットの空気を抜いてゆきますが、収縮期血圧より高い圧で動脈を圧迫しているときは血液は流れませんから『ドクドク』という動脈の音は聞こえません。

徐々に空気を抜いて圧力を下げると圧迫されて狭くなった動脈の中を流れる血液の『ドクドク』という音が聞こえるようになります。

それが図のA点です。

更に圧力を下げると動脈の圧迫は全くなくなり血液の流れも『サラサラ』といった小さい音になります。

それがB点です。

ですのでこの場合の血圧は130/80ということになります。

ただ、マンシェットの圧を抜くタイミングでC点とD点のような圧を測定することもありうります。

この場合には収縮期血圧は低めに、拡張期血圧は高めになります。

血圧を測る原理によるこういった誤差もありますし、最初は緊張していて徐々に緊張がとれて下がることも珍しくありません。

血圧は一回の測定で判断するのではなく大まかな全体像を把握することが重要です。

BP

コロナ肺炎の流行はいよいよ深刻化しており身近な脅威になりました。

軽症のまま軽快する人が80%、入院が必要となる人が20%、集中治療が必要となる人が5%で死亡率は1~2%です。

しかし肺気腫などの慢性呼吸器疾患、糖尿病、高血圧や肥満の方は重症化する確率が高くなります。

このウィルスの厄介なところは何といっても無症状の人から感染するということです。

潜伏期間は1~14(平均5)日ですが、発症する2日前から感染力があります。

実際に無症状の人からの感染が50%で、症状のある人からの感染は40%、また接触感染が10%ですから誰から感染したのか分からない方も多いようです。

また不思議なことですが発症者の80%は誰にも感染させません。

残りの20%の発症者が多数の人に感染を拡大させるいわゆるスプレッダーです。

咳によって排出される喀痰中のみならず唾液中にもウィルスは存在しますから咳以外に会話も危険ということになります。

さらにドアノブやエレベーターのボタンといった環境中に付着するウィルスを触った手で目や鼻をこする、という行為も危険です。

ですので、

  • 無症状の人を含めすべての人が感染源である可能性を考慮し常にマスクを着用する
  • 近距離での会話は控える
  • 手は常に消毒する

事が重要です。

 

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高血圧の原因の多くは本態性高血圧と呼ばれる原因不明のものです。

本態性高血圧の原因については諸説あるものの体質的因子と生活環境が相まって発症すると考えられています。

しかし見逃されがちな高血圧に原発性アルドステロン症があります。

高血圧全体の3~10%を占めますので決して稀な高血圧ではありません。

副腎から分泌されるアルドステロンが異常に増加し血圧を上昇させるだけでなく、全身の血管に直接ダメージを与え若い年齢で脳卒中をおこしたり糖尿病を合併しますので適切な治療をしないと大きな後遺症を残したりします。

原発性アルドステロン症の診断は血液検査や超音波検査などを併せて行います。

原発性アルドステロン症を治療する薬はありますので診断が適切にされれば大きな合併症を予防することが可能です。

他にも二次性高血圧と言われる本態性高血圧以外の高血圧は多数存在し、それぞれに適した治療薬があります。

高血圧と診断された方は自分の高血圧の原因が何なのかを十分理解してください。

 

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