中枢性交感神経抑制薬は、降圧作用がすぐに実感できるほど顕著で副作用も少ない降圧剤が多数発売されている今日では出番の少なくなった薬剤です。
薬剤としてはメチルドパ・クロニジン・グアナベンズがあります。
メチルドパは妊娠中にも安全に投与できるので主に妊娠中の高血圧に対して処方されます。
クロニジン・グアナベンズはα遮断薬と同様早朝高血圧に効果的とされていますが、倦怠感や立ちくらみなどの副作用が見られることがあり最近はあまり処方されなくなりました。
中枢性交感神経抑制薬は、降圧作用がすぐに実感できるほど顕著で副作用も少ない降圧剤が多数発売されている今日では出番の少なくなった薬剤です。
薬剤としてはメチルドパ・クロニジン・グアナベンズがあります。
メチルドパは妊娠中にも安全に投与できるので主に妊娠中の高血圧に対して処方されます。
クロニジン・グアナベンズはα遮断薬と同様早朝高血圧に効果的とされていますが、倦怠感や立ちくらみなどの副作用が見られることがあり最近はあまり処方されなくなりました。
交感神経にはα(アルファ)受容体とβ(ベータ)受容体がありその両方ともが降圧剤として臨床応用されています。
α遮断薬は主に血管平滑筋の収縮を抑え、すなはち血管を拡張させ血圧を下げます。
ですのでどうしても立ちくらみといった起立性低血圧の副作用が散見されます。
一過性の副作用で大事に至ることは殆どありませんが、服薬開始時には注意が必要です。
他に降圧効果の強い製品が多く市販されていますので出番は少なくなってきていますが、前立腺肥大による排尿障害を抑制しますので前立腺肥大を併発されている方にはうってつけの薬です。
その他に早朝高血圧の方にも好んで投与されます
。
ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬も利尿剤の一種なのですが、他の利尿剤とは働きが違うので別に語られることが多い薬です。
ミネラルコルチコイドはアルドステロンのことで原発性アルドステロン症治療に大して用いられます。
アルドステロンは単に血圧を上げる以外に多くの臓器を直接傷害し、本態性高血圧に比して極めて予後が悪いことから別に扱われ、用いる降圧薬も異なります。
一般に処方されるミネラルコルチコイド受容体拮抗薬にはスピロノラクトン(アルダクトン)やエプレレノン(セララ)があります。
利尿剤なので尿量が増え心臓の負担が減少しますから心不全治療にも用いられます。
代表的な副作用は高カリウム血症ですので腎不全の方には要注意です。
他に、乳房が大きくなり男性でも女性のような乳房になることがあります。
アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)はアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)と作用機序が類似しており効果の面でも似通っている薬なのでひとくくりに論じられることも多いと思います。
ARB同様に腎機能の保護作用がありまた狭心症などの冠動脈疾患の発症リスクも軽減しますし、糖尿病患者の死亡リスクも低下させることが証明されていますから特に腎症を合併した糖尿病患者さんでは多用されます。
空咳という特有の副作用がありますが、一般には認知されていないせいか患者さん自身がこの咳を降圧薬の副作用とは自覚しないケースも珍しくありません。
降圧効果はARB同様と言われていますが、実臨床ではARBより劣る印象があります。
実は空咳の副作用はアジア人に多く、日本での投与量が欧米に比して低く設定されているからだと思います。
ですので一般にはARBの方が多用されているようです。
ところで、この満月の写真は私の英会話の先生 Mike Hoyer さんがバンクーバーから送って下さったものでカナダでは warm moon と呼ばれるそうです。
この満月をきっかけに徐々に暖かくなり春を実感するそうです。
日本では春は梅や桜といった植物で感じることが多いと思いますが、緯度の高いカナダでは冬は昼間の時間が極端に短くなるので空を見て季節を感じるのでしょうね。
利尿薬はナトリウムを排泄し尿量を増やし体液量を減らすことにより血圧を下げます。
ですから塩分過剰の方、浮腫(むくみ)のある方、慢性腎臓病の方や糖尿病の方に適しています。
利尿薬は既に多くの臨床研究から多くのエビデンスが導き出されており、心臓や腎臓の合併症を予防する効果があります。
特に高齢者で糖尿病を合併した高血圧に適しており心不全の治療効果も期待できます。
一方副作用としてやはり頻尿や脱水がありますが、その他にも尿酸値や血糖の上昇また電解質の異常も見られることがあり注意が必要です。
夏場、汗の多い時期には特に脱水に注意してください。
最近糖尿病の治療薬としてSGLT2阻害薬が処方されますが、この薬にも利尿作用があり降圧効果があることも分かっています。
SGLT2阻害薬は利尿薬には分類されませんが降圧効果や心不全治療薬としても活用されており、また体重を減らす効果もありますので糖尿病以外の方への処方がされるようになってきました。
降圧薬のうちβ遮断薬は交感神経の働きを遮断し、心拍数を減少させ心臓の収縮力を低下させるなどの作用がありますので交感神経活性の高い若年者や頻脈傾向の方あるいは大動脈解離の方に積極的に処方されます。
心収縮力抑制作用がありますが、上手く使えば心不全の長期予後を改善しますので心不全治療には欠かせない薬です。また頻脈性不整脈を抑える効果もあり抗不整脈薬としても使用される一方、一部の不整脈を悪化させます。
気管支喘息や肺気腫、徐脈性不整脈、冠攣縮性狭心症、レイノー症状や閉塞性動脈硬化症には禁忌である一方β遮断薬にしかないメリットもあり、言わばもろ刃の剣といった印象がありますので循環器専門医以外の先生からはあまり処方されないようです。
ARBと略されるこの降圧薬の正式な名前はアンジオテンシンⅡタイプ1受容体拮抗薬です。
降圧作用が強力で多くの臓器保護作用が証明されていますが副作用は少なくカルシウム拮抗薬に次いで処方されています。
腎臓・心臓・脳の臓器障害のある場合や糖尿病を合併した例で汎用されます。
特に腎臓の機能が悪化するのを防ぐ効果もあるのですが、使い方を間違うと逆効果になります。
カンデサルタン(ブロプレス)・ロサルタン(ニューロタン)・バルサルタン(ディオバン)・テルミサルタン(ミカルディス)が代表的な処方薬です。
副作用が少なく他の降圧薬、特に利尿薬と併用されることが多いのもこの薬の特徴です。
現在日本で最も処方されている降圧薬がカルシウム拮抗薬です。
代表的な薬品はアムロジピン(アムロジン・ノルバスク)、ニフェジピン(アダラート)、ベニジピン(コニール)などです。
降圧効果は強く飲み始めてすぐに十分な血圧低下が得られることが多い一方副作用も少ないので汎用されます。
歴史の長い薬で多くの臨床研究によって臓器保護などのいろんな好ましい効果は実証済みで、また安価であることも多く処方される理由の一つでしょう。
血管拡張作用が強く多くの臓器の血流を増加させますので狭心症の治療薬として用いられることもありますが、その反面頭部の血管も拡張しますのでのぼせやほてりあるいは頭痛といった副作用も見らるることがあります。この副作用は服薬初期に多く飲み続けると消失することが多いので耐え難いものでなければ中止する必要はないと思います。
また心筋細胞のイオンの流れをブロックし不整脈を抑える抗不整脈薬として使用されることもあります。
その他に歯肉腫脹・便秘や動悸がある場合もありますので気づいた場合には主治医に申し出てください。
グレープフルーツと一緒に摂取すると効果が増強される製品がありますので注意が必要です。
また意外に見過ごされがちなのが逆流性食道炎の悪化です。カルシウム拮抗薬を飲み始めて胸焼けがひどくなったという場合はくすりの副作用を疑う必要があります。
減塩や体重の管理あるいは生活環境の改善などで血圧が十分に下がらない場合には降圧薬を内服することになります。
降圧薬には
カルシウム拮抗薬
アンジオテンシン受容体拮抗薬
アンジオテンシン変換酵素阻害薬
ベータ遮断薬
アルファ遮断薬
利尿薬
直接的レニン阻害薬
中枢性交感神経阻害薬
など多くの選択肢があります。
それぞれに長所と短所があり、自分に合った薬を選択することになります。
既に降圧薬を服用されている方で、自分はどの降圧薬を内服しているのかご存じですか?
自分はどういう理由でその薬を内服しているのか主治医の先生に尋ねてみると高血圧に対する理解が深まると思います。
次回から上記の降圧薬を一つずつ説明させて頂きたいと思います。
この数日本当に寒い日が続きました。
そして血圧が上昇傾向の方も多いようです。
一般に寒い日は血圧が上昇します。
その他睡眠不足、便秘や精神的ストレスなど交感神経が緊張する状況では血圧を上昇させるホルモンが分泌されます。
一昔前の東北地方では冬の寒い朝にトイレで脳出血で倒れる方が多くおられました。
寒いトイレで怒責され一過性に血圧が上昇し脳の血管が破れるということが起こっていたわけです。
家庭に暖房が普及した現在でもトイレまで暖房設備を設置されている家屋は稀だと思います。
冬のトイレは血圧の盲点かもしれません。
寒いトイレを防ぐためにご自宅では冬の間はトイレのドアは開けっ放しにして頂くのが良いと思います。
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