不整脈には心拍数が多くなる頻脈性不整脈と逆に少なくなる徐脈性不整脈がありますが、徐脈性不整脈の原因の一つに洞不全症候群があります。

心臓の電気的活動は右心房の一番上にある洞結節という場所で始まります。

この洞結節の機能が低下し心拍数が少なくなるのが洞不全症候群です。

脈拍が毎分30程度に減少すると脳貧血状態となりふらつきや欠神発作がおこります。

洞不全症候群のすべてが治療を要するものではありませんが、このような症状がある場合は緊急の治療が必要です。

薬物治療は一般的ではなくペースメーカー植え込み手術をすることになります。

ただ、かなりのハードトレーニングを積んだ一流のアスリートには安静時の心拍数が極端に少ない方がおられます。

もちろんこういう場合は治療の必要性はありません。

ヤフーが中国から撤退するというニュースを耳にしました。

中国や北朝鮮などの共産主義国家ではネットの検閲があるとお聞きしています。

しかし時々日本でも検閲があるのではないかと疑いたくなるくらい検索でヒットしないキーワードがあります。

『t-PA スキャンダル』

がその一つです。

我々医師は各学会発表のガイドラインに沿った形で診療を勧めます。

そしてそのガイドラインは学会で主導的立場にある研究者たちの合議で作成されていました。

t-PAという高額な薬剤がある年に突如として急性心筋梗塞や脳卒中の第一選択薬として推奨されました。

このガイドラインには当時駆け出しの医師だった私にも大きな違和感がありました。

急性心筋梗塞に対してはバルーンを使って血管を拡張させるPTCAという治療が既に根付きつつあったからです。

結局そのガイドラインは大きな議論を呼び、あっという間に改定されました。

そしてガイドライン策定委員会の医師たちに製薬会社から高額の献金がされていたというスキャンダルが発覚しガイドライン作成のありかたそのものを考え直すきっかけになりました。

https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/176990.html

現在でガイドラインは参考にした研究や論文を挙げ、その論文からその治療がどの程度の根拠をもって推奨されるのかという表現形式に変わっています。

また正式に発表される前に原案が公開されパブリックコメントが求められます。

より公平な形で作成されているという訳です。

 

この事件は現在ネットで検索しても本当にヒットせず上記リンクのみが唯一のヒットです。

この事件をヒントに作成された映画がハリソン・フォード主演の「逃亡者」だと言われています。

私より若い世代の医師はおそらくこの出来事を知らない人が多いのではないでしょうか?

心筋梗塞の既往がある方では心室期外収縮や非持続性心室頻拍という不整脈がみられ、時として死につながることが分かっています。

私が医師になった1987年にはこういうケースでは抗不整脈薬が処方され、投与後に24時間心電図などで不整脈が減少するのを確認してほっとする、ということが普通にありました。

しかしこの状況は1991年に英国の医学誌 New England Journal of Medicine に発表された論文 CAST (Cardiac arrhythmia suppression trial)で大きく変わりました。

この論文では心筋梗塞後の心室期外収縮を抗不整脈薬または偽薬で治療した1498人を追跡調査しましたが、抗不整脈薬で治療した場合にかえって死亡率が増加することが明らかになり、世界中の循環器内科医に天と地がひっくり返るほどの衝撃を与えました。

患者の命を救うと信じて投与していた薬が実は全く逆の結果になっていた訳ですから一時は臨床の現場は大混乱だったといっても過言ではないと思います。

今日では、不整脈はどういう場合に介入する必要がありどういう治療が適しているのかを大規模臨床研究から得られたエビデンスをもとに選択します。

1987年の頃に比べて現在では治療が必要と判断される不整脈は少なくなったように感じます。

そして致死的不整脈には除細動器やアブレーションといった非薬物療法が汎用されるようになりました。

全ての抗不整脈薬の副作用は不整脈です。

使い方を誤ると逆効果になります。

不整脈ほどエビデンスを重視する分野も少ないのではないでしょうか?

 

新型コロナ肺炎が流行してから本当に多くの申請書を公的機関に提出しています。

クリニックで発熱患者さんを診察するのに申請が必要ですし、コロナの検査をするのに申請が必要です。

さらにワクチン接種やスタッフの慰労金に補助金の申請など数えきれないほどの申請書を記入提出しました。

その最後には大抵「反社会的勢力でないことの宣誓」をする書類があり、オンライン申請の場合には「はい」「いいえ」からどちらかを選ばなければなりません。

例えば

「わたしは反社会的勢力の一員ではありません」

という文章に

「はい」

と答えることになります。

ところで、私は2年ほど前から英会話を習っているのですが、英語と日本語では”YES”と”NO”が全く逆になることがあります。

「わたしは反社会的勢力の一員ではありません」は英語で ”I am not a member of antisocial forces” ですが

答えは

「はい、違います」で英語で ”No, I am not”

となります。

つまり日本語で「はい」、英語で “NO” です。

先日、大阪府感染症対策課から電話があり

「先生は反社会的勢力ですか?」

と聞かれました。

初めは何のことを仰っているのか分からなかったのですが、要するに

「わたしは反社会的勢力の一員ではありません」

という宣誓文に私は

「いいえ」

と答えていたそうです。

私の中途半端な英語力が日本語の邪魔をして大きな誤りを犯してしまったという訳です。

電話で

「私は決してその様な反社会的勢力と関わりもなく、極めて善良な市民で運転免許もゴールドです」

とお答えしたところ、電話の向こうで笑いながら

「了解しました、こちらで訂正しておきますね」

と仰って頂きほっとしました。

 

 

動悸を自覚して受診される場合、その原因を特定するのは容易でない場合があります。

動悸を自覚している、まさにその時の心電図を見ることができれば診断はすぐに確定します。

しかしながら、この動悸を自覚している時の心電図を記録するのにいつも苦労します。

診察室で記録する心電図では、診察中に偶然動悸が出現すれば診断が可能なのですがそういうケースは稀です。

ホルター心電図(24時間心電図)はマッチ箱位の大きさの心電計を胸部に装着し24時間分の心電図をメモリーカードに記録しますが、装着している24時間の間に動悸がおこらなければ検査は空振りです。

また携帯型心電図を1~2週間携帯して動悸時に自身で心電図を記録する方法もありますが、心電計を取り出している間に不整脈が治まってしまう場合や睡眠中の自覚に乏しい不整脈は記録はできません。

実は先日アップルウォッチを用いてご自身で動悸時の心電図を記録し持参された方がおられました。

治療の必要な不整脈が見事に記録されすぐに診断が確定しカテーテル治療の手配をするということができました。

このアップルウォッチは現在のところ保険適応がありませんので自身で購入するしかないのですが、不整脈検出には有効な手段であることを実感しました。

一日も早い保険適応を望みます。

診察室で測定すると高血圧なのに家庭で測定すると正常という、白衣高血圧の場合にはどうするべきなのでしょうか?

事実として

①白衣高血圧の方は高血圧でない方と比較して、脳卒中・心疾患・死亡のリスクに有意な差はない

②白衣高血圧の方は白衣高血圧でない方と比較して将来高血圧症を発症する可能性が高い

ことが分かっています。

ですので白衣高血圧の方は直ちに降圧剤を服用する必要はありません。

しかし、将来の高血圧発症を発見するために家庭血圧測定を継続し注意深い経過観察をすることが推奨されます。

また、白衣高血圧の方が塩分制限を実施すると将来の高血圧症発症を予防できるかの十分なエビデンスはありませんが、日本人全体が塩分の過剰摂取ですので白衣高血圧の方も塩分制限をすることは推奨されると思います。

健康診断の心電図で指摘される機会が多いのが脚ブロックです。

全身に血液を送り出すポンプである心臓は電気で動いており、右心房の一番上部にある洞結節で発生する電気は右脚・左脚を通ってそれぞれ右心室・左心室に伝わります。

そしてその右脚または左脚の一部の電気の流れが途絶えてしまったのが脚ブロックです。

心室の電気の流れが途絶えると心臓が止まって死んでしまうのではないかと危惧されるかもしれませんが、そんなことは起こりません。

脚と言いますのはあくまで電機の流れる大通りであって周囲の心筋を通じて電機は流れます。

例えば阪神高速が通行止めになったけど、周囲の一般道を通じて交通は保たれているという状況です。

ですので電気の流れに若干の遅延が生じますが実害はないといった状況です。

ですので脚ブロックそのものに実害はないのですが、この脚ブロックがある心疾患の症状である場合がありますので心疾患が隠れていないかを調べる必要があります。そして心疾患の存在が否定的であれば脚ブロックそのものは放置可能です。

 

 

新型コロナ肺炎についての情報は毎日のようにテレビやネットを中心に報じられ、また人づてに伝わる噂も多く真偽不明のもっともらしい情報が氾濫しています。

何が正しくて何が間違っていて何が分かっていないのか、ネットをうまく利用すると正確な情報を得ることができます。

間違った知識や情報で損をしたり人に被害を与えたりといったことを防ぐために、情報は正確なものを選ばなければいけないと考えています。

新型コロナウィルス感染症の正確な情報は日本感染症学会のサイトが上手くまとまっていて分かりやすいと思います。

https://www.kansensho.or.jp/modules/topics/index.php?content_id=31#ronbun

とんでもないデマに困っているのは海外でも同じようです。

CDC(疾病予防対策センター)ではいろんなデマの間違いを指摘しています。

https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/advice-for-public/myth-busters

英語ですが平易な文書で書かれていますので辞書を片手に読まれると役に立つと思います。

正しくない情報の拡散をパンデミックならぬインフォデミックと呼ぶんですね。

 

 

 

期外収縮という不整脈には上室性と心室性の2種類があります。

いずれも「ドキン」という強い動機を自覚することがあります。

交感神経の刺激により誘発されることがあり、急に驚いた際に「ドキン」とするのは期外収縮かもしれません。

不整脈一般に言えることですが動悸として感じる自覚症状の強さと治療の必要性は関連が薄く、かなり不愉快に感じる期外収縮でもほとんどの場合は放置可能なものです。

期外収縮自体で有害なことは起こりません。

睡眠不足・精神的ストレス・過労・飲酒・喫煙・カフェインなどの生活環境で誘発されますからこれらの因子を是正するだけで期外収縮は減ります。

一方、心筋症や弁膜症などの器質的心疾患が原因で出現するケースが一部でみられるのも事実ですから、持続する期外収縮の場合は超音波検査などでこういった器質的心疾患がないかをチェックしそれらが否定されれば安心してよいと思います。

現実に動悸自体が精神的ストレスとなり、期外収縮を誘発するケースはよく見られます。

検査を受けて心疾患がないと分かった時点で安心して不整脈そのものが消失することも稀ではありません。

生活環境の是正だけでは動悸が消失せず、それが不愉快で耐え難い場合は薬を服用することもありますが抗不整脈薬よりも睡眠導入剤や精神安定剤が著効するケースも多数です。

全ての抗不整脈薬には崔不整脈作用があります。

不要な抗不整脈薬は服用を控えるべきです。

新型コロナ肺炎のためストレスの多い生活を余儀なくされている影響でしょうか、最近動悸を訴え受診される方が多いような気がします。

動悸の多くは何らかの不整脈が原因なのですが、不整脈のすべてが治療を必要とするわけではありません。

むしろ治療を要する不整脈はごく一部で大多数の不整脈は放置可能なものです。

現実に24時間心電図を解析して24時間で不整脈が1拍も無いという人を私は見たことがありません。

それほど不整脈は誰にでも起こるありふれたものです。

そしてその多くは精神的ストレス・不眠・喫煙・飲酒や過労などの生活環境に大きく影響を受けます。

動悸に対する不安感そのものが精神的ストレスとなりそのため不整脈が悪化するという悪循環はよく見受けられます。

とは言え急いで治療を要する不整脈が一部にあるのも事実で、今後高血圧の話と並行して不整脈についてもお話ししようと思います。

一般に危険な不整脈の特徴は動悸以外の症状があるものです。

特に注意が必要なものは血行動態の異常を疑う症状、例えば「頭から血の気が引くような感じがする」「足が浮腫む」「息切れがする」などの症状がある場合は注意が必要です。

一口に不整脈と言っても多くの種類があります。

このブログで少しづつ分かりやすく解説させて頂きます。