心不全の話 33 β遮断薬と気管支喘息
私が執筆を一部担当した書籍「高血圧診療の勘所」が明日発売になります
44名の医師の共同執筆で私が担当しましたのは「β遮断薬と気管支喘息」です
医療従事者向けの本で値段も6,600円と高額ですので一般の方に購入をお勧めするものではないのですが、興味をお持ちの方にわたしが担当した章の概略を紹介いたします
『高血圧治療に用いられるβ遮断薬は気管支収縮作用があることから気管支喘息には禁忌と考えられてきました
しかしβ遮断薬は降圧薬以外に心不全治療薬としても用いられ、その効果は他の薬剤には置き換えられないもので心不全治療薬としては外せないものです
気管支喘息といえども心臓選択性の高いものを慎重に使用すれば安全に用いることが可能です』
上記の内容をエビデンスを交えながら解説したものです
近年は医師の研究は発売後の薬剤の効能を疫学調査するというものばかりになって実験室から生まれる論文は減りました
ですので「どの薬をどういう状況でどのように使えばよいのか」という話ばかりで「なぜその治療が奏功するのか」という議論には出会わなくなりました
β遮断薬がなぜ心不全の予後を改善するのかという疑問に対する現在の知見は十分とは言えないと思います
β遮断薬はアドレナリンやノルアドレナリンといったカテコラミンのの作用をブロックします
ではなぜカテコラミンの作用をブロックすると心不全の予後を改善するのでしょう?
一つ勘違いしてはならないのは現在の心不全がβ遮断薬によって症状改善するのではなく、長期間内服を続けると経過がよくなるということです
心不全になると心筋の収縮力を強めようと副腎からアドレナリンが放出されます
このアドレナリンが心筋障害作用があるということがわかっています
またアドレナリンは不整脈の発生閾値を低下させ致死的不整脈が出やすくなります
これらの作用をブロックすることが心不全の長期予後を改善するのではないかと思います
もちろん交感神経の活性を遮断しますから性急に多量を投与すれば心不全は悪化します
ですのでβ遮断薬の処方は
・心不全の状態が良いときに
・出来るだけ少量から開始し
・できるだけ少しずつ増量し
・できるだけ最大量まで増量する
が基本です













